

東京:1年間の延期を経て、度重なるスキャンダルや論争に見舞われ、コロナ危機からの脱出に向けてもがく、近代史上最もトラブルを抱えたオリンピックがついに金曜、東京で開会を迎える。
金色の紙テープが降る中東京がオリンピック開催権の獲得を祝ってから8年、金曜に行われる開会式は緊急事態宣言が発令された日本の首都で開催される。
世界中から選手11,000人が集まることで巨大なスーパースプレッダーイベントが引き起こされるおそれから、主催者は大会をバイオセキュリティの制約の下で管理することを余儀なくされた。
パンデミックによる規制により、今大会はオリンピック史上初めて、国内・海外から問わず観客の参加が認められない大会となる。
選手、サポートスタッフ、メディアは定期的な検査や毎日の健康チェック等の厳格な新型コロナ対策措置の遵守が求められる。
観光旅行は禁止されているため、選手は宿泊場所や競技会場以外の場所に出ることはほぼできなくなる。
これまでの世論調査では日本人の大半が一貫して開催に反対で、うんざりした無関心の態度から明確な敵意まで様々だった。
直近の朝日新聞の調査では、回答者の55パーセントがこの夏の開催に反対だった。
「もう興味がなくなってきた。オリンピックを心から楽しめない感じがするし、喜びも感じられない」と、東京在住のオオヌマセイラさんはAFPに語った。「テレビで試合を見るかどうかもわからない」
金曜に行われる開会式は、通常は各国の選手がパレードし、何千人もの選手の前でオリンピックの聖火が灯されるなど夏季大会のハイライトとなるものだが、今回はぐっと抑えたものになる。
68,000人を収容可能なオリンピックスタジアムで、日本時間午後8時(グリニッジ標準時11:00)に始まるこの華やかな祭典に参加する各国の要人や高官は1,000人以下となる。
出席VIPのうち日本の徳仁天皇陛下が最高位となり、その他米国ファーストレディのジル・バイデン夫人や2024年にパリでオリンピックを開催するフランスのエマニュエル・マクロン大統領等、一握りの世界各国のリーダーや重鎮が臨席する。
しかし、トヨタ、パナソニック、富士通、NEC等のスポンサーは、オリンピックに対する反感の表明として役員の開会式出席を取りやめた。
「(国民の)理解が得られないオリンピックになりつつある」とトヨタの長田准執行役員は述べた。
一方、日本の天皇陛下は国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長へのおことばの中で、パンデミック下での大会運営は「決して容易なことではない」と述べられ、困難を伴うものとの認識を共有された。
天皇陛下のおことばは木曜、東京で冬の感染の波以来最多の1,979人の新規感染者が記録されたことを受けたもの。
何カ月にもわたり大会の延期や中止を求める声をかわしてきたIOCのバッハ会長は、オリンピックは安全に開催できると断言する。
「この15カ月間にかけて、非常に不確かな根拠から多くの意思決定を行わなければならなかった」とバッハ会長は今週述べた。「毎日疑念がわいた。眠れない夜もあった」
「ようやく暗いトンネルの先が見えるようになった。中止は我々にとって一度も選択肢にはならなかった。IOCは決して選手を見捨てない…我々は選手のために頑張った」
莫大な金銭的報奨もかかっている。もし大会が中止になっていたらIOCは15億ドルの放送収入が失われ、窮地に陥っていたと内部関係者は推測する。
一方、大会実現への困難な道を乗り越え、注目がようやく競技のアクションへと移ることで、オリンピック主催者はようやく安堵のため息をつくことが許される。
これまでの準備期間は誘致プロセスの不正疑惑から東京2020ロゴデザインの盗用疑惑まで、様々なスキャンダルに悩まされた。
論争は開会式のディレクターが1998年のビデオでホロコーストを冗談のネタに使ったことで解雇された木曜の大会前夜までもつれこんだ。
競技場では、ウサイン・ボルトやマイケル・フェルプスといったスター選手が表彰台を独占した10年間を経た今、新世代のオリンピックスターの誕生が見られるかもしれない。
土曜に始まる水泳競技では、ケイレブ・ドレセルが7個の金メダルを狙う。
陸上では、ノルウェーの400メートル障害のカルステン・ワーホルムやアメリカのシドニー・マクラフリン等の選手が新たに名を知られることになると期待される。
ワーホルムとマクラフリンの二人とも、今年400メートル障害で世界史記録を樹立した。
一方、体操ではシモーヌ・バイルズがラリサ・ラチニナの金メダル9個の記録に挑むところが見られる。
このアメリカの24歳の体操選手は、リオ大会参加から今大会に再度出場するわずかなスーパースターの一人だ。
東京ではサーフィン、スケートボード、スポーツクライミング、空手がオリンピック新規種目としてお目見えする。
AFP