
上野村:1985年の日航ジャンボジェット機墜落事故から36年を迎えた12日、東日本の山間にある事故現場では犠牲者への追悼が行われた。
遺族や関係者は、東京の北に位置する群馬県上野村の墜落現場、標高1565メートルの御巣鷹の尾根に登り、慰霊登山を行った。
登山者らは、犠牲者の遺体が発見された場所を示す慰霊碑に哀悼の意を表した。
単一航空機としては世界で最も多くの死者を出したこの事故では、1985年8月12日に、東京発大阪行きのボーイング747型機JAL123便が墜落し、乗客・乗員524人のうち520名が死亡した。
新型コロナウイルス危機前の2年前、父・昭司さん(当時50歳)を亡くした若本千穂さん(56歳)は、長男とその妻、娘の詩葉さん(現在3歳)と一緒に尾根に登った。
しかし今年の記念日、東京の南、神奈川県大和市から訪れた若本さんは、コロナウイルス対策を徹底した上で、長男と2人だけで事故現場を訪れた。
流行が収束したら、千穂さんは詩葉さんを現場に連れ、「悲しいことがあったけど、『(ひい)じいじ』を守っている優しい場所だよ」と伝えるつもりだ。
東京の吉田公子さん(87歳)は、名門宝塚歌劇団所属の女優で当時24歳だった娘の由美子さんを亡くした。
吉田さんは昨年、体調不良で墜落現場への登山を断念した。12日、吉田さんは休憩を取りながら、慰霊登山を行った。
「これが最後の慰霊登山になるかもしれないと思いながら、毎年尾根に登っています」と、吉田さんは述べた。「娘への思いは何年経っても変わりません」。
コロナウイルスの感染拡大を受けて、群馬県内の20市町村には8日からまん延防止等重点措置が実施されている。
上野村はまん延防止等重点措置の対象にはなっていないものの、ウイルスのさらなる拡大を防止する取り組みの一環として、11日から13日の間に遺族やその他の関係者に限って、慰霊登山を行うことが認められている。
時事通信