東京：新型コロナによる1年の延期を経て、いまだウイルスが長く影を落とし、日本の感染者数が過去最高を記録する中、東京パラリンピックが24日に開幕となる。

オリンピックと同様、今大会でも厳格なウイルス規制が敷かれ、ほぼすべての観客の入場が禁止され、選手や他の参加者たちにも厳しい制限が課される。

否定的な世論調査が何ヵ月も続いた後、オリンピック開催中は大会を支持する空気が国内で大きく膨らんだが、日本は現在、新型コロナの第5波に見舞われており、パラリンピックが近づくに連れて深刻な懸念が起こっている。

19日には新規感染者2万5000人を記録し、全国の医療関係者は、記録的な重症患者数で国内の病院は限界に達していると警告している。

障害をもつアスリートたちにとって最も重要なスポーツ大会であるパラリンピックは厳しい環境に陥っており、国際パラリンピック委員会（IPC）会長のアンドリュー・パーソンズ氏は、参加者たちに油断しないようにと警告した。

こうした状況にも関わらずIPC関係者は、パラリンピック大会の影響力は「驚くべきもの」になると主張している。

「もちろん、会場に観客がいないという事実は挑戦となります」とパーソンズ氏はAFPのインタビューに答えて語った。

「しかし我々は、放送を通して40億人以上の人々に届けることができると考えています」

現地の大会関係者は、アスリートや他の参加者たちにはオリンピックと同じ感染防止ルールが適用されるため、大会は安全に開催されると述べている。

選手たちがパラリンピック村に入ることができるのは試合直前で、競技終了後は48時間以内に立ち去らなければならない。

選手たちは毎日検査を受け、移動はトレーニング会場、競技会場、選手村の間のみに限られる。

これらの措置は、パラリンピックが感染症のスーパースプレッダーとなることを防ぐことを目的としており、オリンピック大会でこれらの措置が有効であることが証明されたと関係者は述べている。

7月1日から8月22日までにオリンピック関連で552人の陽性者が報告されているが、その大半は、大会に雇用されているか、請負業者として働く日本住民だった。

これまでにパラリンピック関連で138人の感染者が確認されたが、これに関しても、少なくとも4人のアスリートに陽性反応が出たほかは、ほとんどが日本に住むオリンピック関係者であった。

大会から日本国内への感染が広がっているという証拠はなく、国内の感染者数はすでに増加していたとオリンピック関係者は述べている。
いずれにしても組織委員会は、取り巻く状況が悪化していることは認めている。

「現在の感染状況はオリンピック前とは異なり、悪化しています」と東京2020大会の関係者である中村英正氏は20日に語った。

「そして国内の医療体制も非常に逼迫しています」

感染の急増が緊張をもたらしており、小池百合子東京知事が大会プログラムに賛同しているにも関わらず、地域や学校では予定していた観戦を取り止めるところも出ている。

それでも、不確かな状況で1年の延期を経た後だけに、パラリンピックに参加する選手たちの間には引き続き快活なムードが漂っている。

「私たちが金メダルを目指す時がきた！」とパラリンピック銀メダリストである米国アーチェリーのマット・スタッツマン選手は、Armless Archer（腕のない射手）のハンドルネームでツイートした。

スタッツマン選手は、約160ヵ国の代表チームの4400人の選手たちが競うパラリンピックで、メダル授与の表彰台に立つと予想される選手のひとりだ。

22の競技があり、選手たちは障害の性質によって異なるカテゴリーやクラスで競う。今大会からバドミントンとテコンドーが新競技として加わる。

トップ選手の中には、ドイツのマルクス・レーム選手の名も含まれ、彼は走り幅跳びで重力に逆らうようなその能力から「義足ジャンパー」と呼ばれ、3つの金メダルと銅メダル1つを獲得している。

レーム選手はオリンピックへの参加も目指してきたが、現段階では、義足のブレードが有利に働くという声を覆すことができずにいる。

他にもお馴染みの名前としては、夏季パラリンピック5度目の参加となる米国の車椅子走者、タチアナ・マクファデン選手がいる。

彼女はソチの冬季大会にも出場し、生まれた国ロシアで米国人の養母とロシア人の実母の応援を受けながら、銀メダルを獲得した。

日本は、オリンピック大会では記録的な58個のメダルを獲得し、今大会でも金メダルのラッシュとなることを期待している。

金メダルの期待がかかる選手の一人が、国枝慎吾選手だ。彼は車いす男子テニス・シングルスの世界チャンピオンであり、この競技の最も偉大な選手の一人とされている。

AFP