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レバノン人卒業生、日本での留学生活を振り返る

2018年8月3日 東京証券取引所を訪れた大学生(ファイル画像:AFP)
2018年8月3日 東京証券取引所を訪れた大学生(ファイル画像:AFP)
14 Oct 2019 12:10:59 GMT9

ベイルート

日本で学業を修めたレバノン人のひとり一人に物語がある。アラブニュースでは、それぞれのキャリアの様々な段階にいる彼・彼女らの何名かに話を聞いた。

駐レバノン日本大使館によると、1980年代以降に日本で修士号および博士号を取得したレバノン人学生の数は70名を超える。

「こうした学生の多くが(日本とレバノン間の)文化・研究の交流活動の一員となるべく、レバノンに戻りました。」(駐レバノン日本大使館 踊場あい経済協力・文化担当官)

アラブ-日本関係を専門とする大学教授のマスード・ダヘル博士は次のように話す。「日本の奨学金を得る前提条件は日本語を学ぶことです。日本語が習得しにくい言語であることを考えれば、日本側は来日前から日本語を学んでいる学生を真剣に受け止めるわけで、奨学金を獲得できる確率が上がります。」

東京大学で建築の博士号を取得し、現在はレバノン大学美術学部で教鞭を執るラナ・デュバイシ博士は、1998年に日本の外務省から奨学金を支給されたと話す。

デュバイシ博士は広島大学で6ケ月間日本語を学んだ後、東京に移った。東京で出会ったレバノン人医学生のほとんどが自国に戻ることなく、欧米のより良い雇用機会を求めて「アメリカやヨーロッパに行きました」と博士は言う。

 博士はまた、日本で共に学んだ友人の1人はレバノンに戻ったものの「仕事に就くことができず、国を出たがっています」と続ける。

デュバイシ博士は日本での9年間を自身の人生をガラリと変えた「素晴らしい経験」だったと表現し、その間に遭遇した多くの試練が自らの能力に気付かせてくれたと話す。

彼女は「レバノンと日本の人々は似たような世界に暮らしています。両国ともヨーロッパの影響を受けており、人間的な価値を共有しています。おもてなしの精神や他者を敬う気持ち、社会的なヒエラルキーといったように、日本でのほうがこれらの価値がより深くとらえられていて、ほぼ慣習のようになっていますが。私たちは東西のミックスなのです」と続ける。

日本での留学生活はデュバイシ博士に集中することの美しさを教えてくれた。「集中は成功への鍵です。私たちの国(中東の国々)にはそれがありません。」

「ある目標に向かって集中して計画することは最も重要なことです。私たちの文化にもゴールはありますが、日本人にはそのゴールを達成する術があります。」

デュバイシ博士は、日本に自らの故郷であるかのような愛着を感じ始めた時、レバノンに戻ることを決めたと話す。

「悲しいことに日本人はレバノンを知りません。レバノンを日本の方々に紹介するのが私たちの任務です。日本の方々はレバノンを訪れるとこの国のことが大好きになるのです」と博士は語る。

デュバイシ博士は現在、「一緒に集まり、日本で受けた教育から恩恵を受けられるように」かつての留学生たちの会合を開こうと頑張っている。「日本大使館が企画したイベントの場で顔を合わせるだけでは不十分です」と話す。

それに比べると「イスラエルは日本でとても積極的に活動しており、これがさらなる関与や交流に繋がっています」と博士は続ける。

「日本人が中東を訪れる時、彼らは必ずイスラエルをその旅程に含めます。」

日本人は「戦後に信じられないほどの回復力を見せましたが、彼らの経験から学ぶべきことがたくさんあります」とデュバイシ博士は語る。

「人道的なレベルで言えば日本人には敵いません。彼らは振り返ることなく、許して前に進むのです。」

博士は、自然や日光、緑を採り入れる自身の建築に日本が与えた影響はとても大きいと話す。日本では自然は神聖なものとされているのだ。

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