パリ:ゼルダ姫は、自身の名を冠した任天堂のファンタジーシリーズの約40年の歴史において、初めて苦悩する乙女の役を脱ぎ捨て、ヒロイン役を演じる。
木曜日に発売される「ゼルダの伝説 知恵のかりもの」は、任天堂の長寿シリーズを初めて担当する女性監督、佐野友美氏による作品である。
今回は、長年主役を務めてきたエルフのリンクが悪の勢力に捕らえられる番となった。
ゼルダは、さまざまなアイテムを呼び出す魔法の杖を手に、ハイラル王国を救うという使命を背負う。このタイトルは、子供向けのグラフィックで知られる『リンクの冒険』を彷彿とさせる。
ゲーマーは、対戦格闘ゲームシリーズ『大乱闘スマッシュブラザーズ』や、オランダのフィリップス社が1993年にCD-i向けにリリースしたゲーム(任天堂は後にこのゲームを否認)など、他のタイトルでプリンセスを操作してプレイすることができた。
しかし、彼女がシリーズ名となっているにかかわらず、(この名前は「華麗なるギャツビー」の作者F・スコット・フィッツジェラルドの妻であるアメリカの小説家ゼルダ・フィッツジェラルドにインスピレーションを得ている)、「知恵のかりもの」は彼女にとって初の公式ソロ作品となる。
シリーズを20年近く手がけてきた日本のプロデューサー、青沼英二氏は、任天堂のウェブサイトでのインタビューで、ゼルダに「本当にふさわしい」適切な提案を待っていたと語った。
しかし、リンクが剣と魔法の杖を同時に操るのに苦労しているのを見て、「これはまさに彼女のためのゲームだ!」と思ったという。
「ゼルダが新しいゲームの主人公になることで、ゼルダのイメージが信じられないほど勇敢でクールなものに変わる。私はゼルダが好きなので、とてもうれしい」と、東京のゲームショップでAFPの取材に応じた24歳の日本人学生、サキさんは語った。
「個人的にワクワクしてます。ゼルダをずっとプレイしてみたかった」と、ニューヨークからこの店を訪れた観光客のアビー・マーフィーさんも同意する。
30歳の彼女は、ほとんどのビデオゲームは男性向けだが、「ゼルダは万人向けとしてかなり良い仕事をしている」と付け加えた。
このシリーズの人気サウンドトラックに関する著書もある音楽学者のファニー・ルビヤルドさんにとって、彼女の知名度が上がったことは驚くことではない。
「ここ数作のゲームでは、姫の重要性はますます高まっている。もはや城に閉じ込められた姫を救い出すだけの存在ではなく、彼女自身の物語がある」とルビヤルド氏は言う。
2023年に発売されたゼルダのゲーム最新作「ティアーズ・オブ・ザ・キングダム」は、発売から3日間で1000万本以上を売り上げた。これは、スイッチ専用ゲームとしては非常に高い水準である。
その続編が同じ成功を収めるのは難しいだろう。
「『ゼルダ』の新作が発売されるのは常に一大事です」と、『The History of Nintendo』の著者であるフロレント・ゴルジュ氏は言う。
「しかし、2つの大型タイトルの間には、任天堂は常に控えめな作品を提供してきました」と氏は述べ、このタイトルはその流れに当てはまると語った。
ルビヤルド氏にとって、「知恵のかりもの」は、任天堂が最終的に大規模なゼルダの冒険の扉を開く前に、過渡的なエピソードで「様子を見る」機会となる可能性もある。
開発者は「非常に慎重に作業を進めている」と彼女は言う。
リンクの女性版であるリンクルが以前のゲームに登場した際には、「次の『ゼルダ』ではリンクが女性になるのではないかという噂が流れ、ゲーマーの間でかなり強い反応を引き起こした」と、ルビヤルド氏は振り返った。
3月には、マリオシリーズのピーチ姫も、Switchで『ピーチ姫:ショータイム』というタイトルで自身の冒険を繰り広げた。このゲームは、2023年の興行収入第2位を記録した映画『ザ・スーパーマリオ・ブラザーズ・ムービー』で、ピーチ姫が類まれな戦士として描かれたことに続くものだ。
「任天堂は(ゲームに)イデオロギーを盛り込もうとしているのではなく、単に異なるゲームを提供しようとしているだけだと思います」とゴルジュ氏は語った。
AFP