
ロイター通信、東京
アメリカのバラク・オバマ大統領も訪れドキュメンタリー『二郎は鮨の夢を見る』でも取り上げられた地下の小さな寿司店が、今年の東京のミシュランガイドから消えることになった。理由は、一般客からの予約を受け付けなくなったからとのことだ。
すきやばし次郎本店は、カウンター席10席の寿司店で、94歳の寿司職人の小野二郎さんが経営している。小野二郎さんは世界最高峰の寿司職人の1人として広く評価され、ミシュランが2007年に東京版のガイドを初めて出版した時から三つ星を獲得していた。
もう1つの小さな三つ星店である鮨さいとうとともに、小野さんの寿司店はミシュラン2020から消えることになった。その理由は、一般客からの予約を受け付けなくなったことだと、ミシュランガイドは声明で発表した。
すきやばし次郎本店は、特に観光客の間で有名になりすぎたことが裏目に出たようだ。2011年には小野さんと寿司店についてのドキュメンタリーが公開され、寿司職人の小野さんが眼鏡をかけてタコを柔らかくするために加熱する前に揉む様子が映し出された。
小野さんは1965年に、東京の高級地である銀座で寿司店を開店し、今でも小野さんは息子さんとともにカウンターに立っている。20貫が試せる「おまかせ」メニューは40,000円(368ドル)からで、ドリンクは別料金だ。
「残念です。銀座で最も有名なレストランの1つで、世界中からお客さんが来ていました」と、銀座の別のレストランで母親と食事をしていた59歳のイケダユウコさんは語る。
「みなさんミシュランで三つ星だから行かれたのだと思います」
すきやばし次郎本店のホームページには、電話での予約受付をやめた旨、そして外国人はホテルのコンシェルジュ経由で予約する必要がある旨が記されている。
「客席が10席ほどの店舗でございますので、今後もこの状態が続きそうです」とのことだ。「当分の間お電話でのご予約は見送らせていただきたいと考えております」
通常開店時間前に電話をかけてみると、自動応答で予約受付をやめたことを詫びるメッセージが流れた。
多くの日本のレストランは、キャンセルや支払い関係のトラブルを避けるため、事前に紹介された客しか受け付けないというポリシーを導入している。
アメリカのオバマ大統領は2014年の来日の際、日本の安倍晋三総理大臣とすきやばし次郎の細い木製のカウンターの前の丸椅子に並んで腰掛けて寿司を楽しんだ。オバマ大統領は、人生で「最高の寿司」だったと提供された寿司を絶賛したと、当時報道された。
世界で最も有名と言っても過言ではない寿司店がガイドから消えたことになるが、東京では226のレストランが星を獲得し、今年もまた世界で最も星を獲得したレストランが多い都市となったと、ミシュランは発表した。
「東京は、高品質の食材が流通する中心地としての立地を活かすことができ、またその食材を調理する凄腕の日本人および外国人シェフを誇っています。そのため東京は、これからも美食の街として世界をリードし続けるでしょう」と、日本ミシュランタイヤのポール・ペリニオ代表取締役会長は述べた。
ミシュランによると、東京では計11のレストランが最高評価の三つ星を獲得したとのことだ。