
日本の伊豆半島の沖合で、ボートの乗員が澄んで見える海の中に網を投げ入れる。だが、漁ではない。マイクロプラスチックをすくい上げ、海洋生物への汚染の影響を確かめようとしているのだ。
元はプラスチックの包装、合成繊維の衣類、漁網だった小さな浮遊物は、過去40年間に大幅に増加した。現在では、世界の海のあらゆる場所で、最も深い海溝からも見つかるようになった。
昨年発表された調査報告によると、地球の海底には推定1,400万トンのマイクロプラスチックが散らばっている。科学者たちは、生態系、食物連鎖、人間の健康にマイクロプラスチックが及ぼす影響について詳しい調査を緊急で進める必要があると訴えている。
そこで、フランスと日本の研究者チームが、日本列島の沿岸海域から採取したサンプルを分析した。マイクロプラスチックが海に入るまでの経路と、海底への浸透度を研究するためだ。
また、チームは、廃棄されたプラスチックの中に微生物が生息している場所、いわゆる「プラスチック圏」の検査も行っている。
「1970年代以前は存在しなかった新しい生態系です。どの種の微生物がこのプラスチックに関連しているかはまだ分かっていません」。TARA-JAMBIOプロジェクトの科学ディレクター、シルヴァン・アゴスティーニ氏はAFPに語った。
乗員は、「ソックス」と呼ばれるじょうご型の網を15分間水面近くに漂わせてから甲板に引き上げ、採取物を調べる。
「この青いものがマイクロプラスチックです。ポリスチレンでしょう」とアゴスティーニ氏は言った。
チームは、2020年4月の調査開始以来、200を超えるサンプルを集めてきた。そのすべてにマイクロプラスチックが含まれている。
調査に参加したトリニダード・トバゴの学生、ジョナサン・ラムタハル氏は、チームの目的は、発見した細菌が「広い範囲の食物連鎖に害を及ぼす」のか否かを判断することだと言った。
「これは懸念すべきことなのか。つまり、病気を媒介するものを運んでいないか。細菌の多様性を調査することで、それがさまざまな環境でどう変化するかが分かります」とラムタハル氏は言った。
マイクロプラスチックは地球のへき地にまで浸透している、と報告する別の研究もある。フランスのタラオセアン財団は、以前にも地中海とヨーロッパの大きな河川で同様の調査を行っている。
そして今回、財団は日本で調査を行っている。国連によると、日本は1人あたりのプラスチック包装廃棄量が世界で2番目に多いとされる。
日本政府は、大規模な廃棄物管理計画によってプラスチックが海に流れるのを阻止するとしている。業界の調査によると、日本のプラスチック廃棄物の85%が再利用されているが、多くはエネルギー生産のために燃やされ、二酸化炭素を排出する。
環境省の海洋プラスチック汚染対策室室長の中島慶二氏は、日本の海は近隣の廃棄物の影響も受けていると話した。
そして「日本の道路や川は他の諸国よりもきれいなのです」と言った。
日本は「東南アジアと中国で発生するプラスチック廃棄物が流れ込む大きな海流の下流」に位置するのだと中島氏は付け加えた。
2018年の国連の報告書では、1人あたりのプラスチック包装廃棄量が最も多いのは米国で、全体量では中国が最大とされている。
東京の北東部にある筑波大学の助教であるアゴスティーニ氏によると、この説明には「正しい部分もある」が、疑う余地がないわけではないという。
河口やへき地の湾でプラスチック廃棄物が見つかったなら、「数千キロ先から来たものではない」ことは明らかだ、と彼は言った。
調査結果の発表には数年かかり、TARA-JAMBIOプロジェクトでその議論が解決する可能性は低いが、アゴスティーニ氏は、海に浸透したのが日本のプラスチック廃棄物のごく一部だとしても、それが「膨大な量」であることに変わりはないと説明した。
日本はプラスチックへの依存度を減らすために小さな一歩を踏み出している。2019年には、2035年までに新しいプラスチックを100%再利用できるようにする目標を設定し、昨年は店舗でビニール袋が有料になった。
日本のマリンステーションネットワークJAMBIOの責任者である稲葉一男氏は、日本では「包装の習慣が深く根付いています」と言ったが、彼もチームも、変化は不可欠だと考えている。
「先進国が模範を示してリードしなければ、どこも対応しないでしょう」とアゴスティーニ氏は述べた。
AFP