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エジプト、トルコとの国交再開を否定

2021年3月11日にカタールのドーハにて、トルコのメブルト・カブソグル外相が、カタールのムハンマド・ビン・アブドゥラハマン・アル・ザニ副首相兼外相とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会談に臨む。(ロイター)
2021年3月11日にカタールのドーハにて、トルコのメブルト・カブソグル外相が、カタールのムハンマド・ビン・アブドゥラハマン・アル・ザニ副首相兼外相とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相との会談に臨む。(ロイター)
トルコのメブルト・カブソグル外相はこれより前に、トルコとエジプトはハイレベルの外交関係を再開したと主張していた。(提供)
トルコのメブルト・カブソグル外相はこれより前に、トルコとエジプトはハイレベルの外交関係を再開したと主張していた。(提供)
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13 Mar 2021 08:03:02 GMT9
13 Mar 2021 08:03:02 GMT9
  • エジプトとトルコは、ムハマド・モルシ大統領が追放された後、2013年8月に断交した

アンカラ:エジプト外相は、エジプトや湾岸諸国との国交を回復・再開したとするトルコ政府の主張を否定した。

「国交再開などという事実はない」とエジプト・トゥデイ誌は、名前を公表せずに政府関係者の弁として報じた。

エジプトとトルコの外交関係は、外交上の規範に従って代理公使レベルでは存在していると同関係者は述べた。

「両国の関係をさらに上の段階に進めるには、主権の原則とアラブ国家安全保障要件に基づき、両国の関係を規定するための法的・外交的枠組みを検討する必要がある」と同人物は続けた。

「エジプトは我が国との正常な関係を樹立したいとするいかなる国家に対しても、国際法の規則と善隣政策の原則を守り、地域諸国への内政干渉を控えることを望んでいる」。トルコは、2013年に国交が断絶して以降初めて、エジプトとの国交を再開したと発表している。

トルコのメブルト・カブソグル外相が、先に、トルコとエジプトはハイレベルな国交を再開したと述べていた。

「我が国はエジプトとこれまで、情報機関レベルでも外務省レベルでも接触してきた。そして今、外交レベルでの接触も始まった」とカブソグル外相は金曜日、国営アナドル通信のインタビューで述べた。

カブソグル外相は、どちらの国も関係緩和の前提条件を提示してはいないと述べた。

この動きは、両国の情報機関による数ヵ月に及ぶ交渉の結果だという。

「エジプトは、国交正常化の見返りとして、トルコにムスリム同胞団との関係の見直しを求める可能性が非常に高い」とアンカラ政策センターのロンドン担当員セリン・ナシ氏はアラブニュースに語った。

エジプトとトルコの関係は、ムハマド・モルシ大統領が追放された後、2013年8月に断交した。それらの事件に続き、ムスリム同胞団のメンバー数名がトルコに亡命した。

それ以降、エジプトとトルコは、地域紛争においてしばしば対立する側を支援しており、特にリビア内戦や東地中海での対立においてそれが顕著だ。

オックスフォード大学で教鞭をとる研究者サミュエル・ラマニ氏は、カブソグル外相のエジプトへの申し出が両国の国交再開につながるかどうかを判断するのは「まだ早過ぎる」と述べた。

エジプトとギリシャが東地中海排他的経済水域協定を締結していることから、地中海の安全保障問題は協力対象になり難い。

サミュエル・ラマニ氏、研究者

「トルコは、最も親密なアラブ国家であるカタールがエジプトとの国交改善を果たしたことから、それを足掛かりにしようと試みているのだろう」とラマニ氏はアラブニュースに語った。

今回の動きは、アラブ諸国との緊張緩和を試みるトルコの、より広範な政策の一環であるとラマニ氏は述べた。

「トルコはイラク北部のシンジャルに介入しており、その安全保障政策上の焦点はイラクへと移っていると考えることができる。そのために、戦闘地域を制限しておきたい意図があるのだろう」と彼は言う。

ただ専門家たちは、エジプトがテロ組織とみなすムスリム同胞団への支援をトルコが縮小させるかどうかについて疑問視している。

両国の信頼関係が損なわれていることを考えれば、エジプトは、ムスリム同胞団の問題でトルコがまず具体的な措置をとることを望むだろうとナシ氏は述べた。

ラマニ氏は、「トルコはムスリム同胞団の問題に関して、エジプトに非公式な約束を申し出ると私は思う。しかしそれを公式発表することについては、与党である公正発展党やエルドアン大統領の支持基盤の内部にイデオロギー的分裂を招く恐れがあるため、慎重になるだろう」とラマニ氏は述べた。

また、トルコ軍のリビア駐留も問題となってくる。

ラマニ氏は、リビアの状況が、トルコとエジプトが外交的プロセスで協力する結果となる可能性があると述べる。

「エジプトとギリシャが東地中海での排他的経済水域協定を締結していることから、地中海の安全保障問題は協力対象にはなり難い。シリアに関しても両国は意見が一致せず、湾岸の安全保障やイスラエル・パレスチナ問題についても取り組み方が異なる」とラマニ氏は言う。

「経済協力を拡大させることで得られる効用が、両国の緊張緩和を促す要因にはなり得る。しかしそれにも限度はある」とラマニ氏は付け加えた。

エジプトは今もまだ、トルコとリビア国民合意政府との間で締結された物議のある海洋境界合意を拒否している。そしてエジプトは昨年、それに代わる海洋境界合意をギリシャとの間で結んだ。

「伝えられるところによるとトルコは、リビアと結んだものと同様の海洋境界合意を、イスラエルとエジプトとも締結することを希望しているという」とナシ氏は述べた。

「エジプトがギリシャと締結した海洋境界合意は、トルコの主張もある程度認めているように見える。これがトルコの報道で、エーゲ海と地中海におけるトルコの領海主張が認められたと解釈されたのだ」

だがこの合意は、ロドス島とクレタ島をギリシャの大陸棚の一部であると定めており、トルコとリビアによる海洋域合意とは矛盾する。

「これが理由で、トルコとエジプトが同じ側に立つとはいい難いのだ。両国が同じ側に立つには、それらの海洋境界合意のどちらかを無効にする必要がある」とナシ氏は述べた。

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