
政府が20日の閣議決定を目指す海上自衛隊の中東派遣で、上空から海域の情報収集に当たるP3C哨戒機の活動区域について、対空脅威を避けるためソマリア沖のアデン湾や、イエメン沖のバベルマンデブ海峡東側を中心に検討していることが7日までに、政府関係者への取材で分かった。
政府は中東海域の航行の安全確保のため、防衛省設置法(調査・研究)に基づき、護衛艦1隻を派遣するとともに、海賊対処でジブチを拠点に活動をしている2機のP3Cのうち1機を充てる方針だ。
政府が候補に挙げている活動区域はオマーン湾、アラビア海北部、バベルマンデブ海峡東側だが、P3Cについては6月、米軍無人偵察機がイランに撃墜されており、イラン南部に面したオマーン湾上空での活動は、対空兵器や攻撃型無人機による脅威が高いと分析。P3Cの航続距離も考慮し、海賊対処海域と同じアデン湾が有力視されている。
ジブチから比較的近いバベルマンデブ海峡東側での活動も、安全確保上問題がないか検討が進められている。P3Cは不審な船舶を識別するために高度を下げて哨戒することもあり、船上からの携行式の対空火器も脅威になる。
同海峡はアジアと欧州を結ぶシーレーン(海上交通路)の要衝で、米軍が商船護衛の協力を呼び掛ける海域の一つになっている。
護衛艦とP3Cは海域の脅威情報収集のほか、海上警備行動に基づき日本の商船を護衛する事態に備え、安全な航路や緊急時に使用する衛星通信の状況などを確認する。政府の閣議決定後、P3Cが年明けの護衛艦派遣に先行し、年内にも任務に就く可能性がある。
ジブチに設けられた格納庫には海自の最新型哨戒機P1は入らないため、八戸(青森県)、那覇(沖縄県)両基地のP3Cが交互に派遣されている。
JIJI Press