
日本の内閣は24日、10年連続で過去最高となる9400億ドルの年度予算を閣議決定し、新型コロナウイルスとの闘いへの対応と、首相が目指す成長と富の分配を優先させた。
2022年4月に始まる年度の107兆6000億円(9415億5000万ドル)の予算は、日本の当初予算案としては最大となり、長期的な財政健全化よりもパンデミックによる打撃を受けた経済の回復を優先することを強調している。
しかし、新型コロナのパンデミックと闘うために多額の支出をすることで、政府はプライマリーバランスの目標を変更せざるを得なくなるのではないかと問われると、鈴木俊一財務大臣は「今のところそうは思わない」と述べた。
鈴木大臣は、日本の信用の礎として財政再建の努力を続けることが重要であると述べ、目標を堅持することを改めて約束した。
岸田文雄政権の初の予算は、3月の今年度末までに国会が承認しなければならないものだが、新型コロナからの回復を後押しするための過去最大となる36兆円の追加刺激策を国会が成立させた数日後に発表された。
歳出の増加は、借入コストを低く抑えることを目的とした日銀の超低金利金融政策頼みの日本の政策立案者の間で、財政規律が緩んでいることを意味すると、アナリストらは述べた。
「政治家は政府の債務を返済する努力をする様子を全く示していない」と、みずほ証券のチーフマーケットエコノミストの上野泰也氏は述べた。「財政規律の欠如は、日銀の大規模金融緩和の最大の副作用だ」
予算には、新型コロナの緊急的な費用として5兆円、過去最多の防衛費として5兆3700億円、過去最大の社会保障費として36兆3000億円、国債費として24兆3000億円が盛り込まれた。
世界第3位の経済大国である日本の公的債務は、5兆ドルの経済規模の2倍以上となっており、先進国の中では最も多くなっている。
岸田総理は長期的に財政を改善することを約束しており、予算案では来年の新規国債発行額を、今年の当初予算案の43兆6000億円より少ない36兆9000億円と見込んでいる。
国債発行額の減少分は税収の増加で賄う予定で、税収は、新型コロナによる経済活動の制限緩和に伴い、2年ぶりに過去最高の65兆2000億円に増加すると見られている。
政府は来年度の実質経済成長率を、これまでの予想の2.2%から増加して3.2%と見積もっている。この試算は、予算案の基礎となるものだ。
しかし、債務が依然として予算の34.3%を占める中、政府が目指すような、2025/26年度までの基礎的財政収支の黒字化達成は厳しい。
新規国債の発行額と国債費を除いた基礎的財政収支の赤字額は、来年度は今年度予想の20兆円から縮小して13兆円と見積もられているが、それでも政府の目標には程遠い。(1ドル=114円28銭)
ロイター通信