宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発中の新型ロケット「H3」について、今年度内に予定していた初号機打ち上げが延期となる公算が大きいことが17日、分かった。主エンジンで見つかった不具合が解消していないためで、事前の燃焼試験などを考慮すると、残り2カ月半で打ち上げにこぎ着けるのは困難とみられる。
JAXAは、現時点で延期の判断はしていないとした上で、「打ち上げ時期については、慎重に検討を進める」とした。
H3ロケットは、現行のH2Aの後継となる基幹ロケットで、2014年度から開発を開始。1段目に新開発の主エンジン「LE―9」を2基または3基搭載する。
JAXAによると、20年5月に実施したエンジン燃焼試験後の点検で、燃料の液体水素を送り込むポンプのタービン羽根に金属疲労によるひびが見つかった。検証した結果、タービンの設計変更が不可避と判断され、20年度内としていた打ち上げ予定を1年延期した。
その後、改良したエンジンの試験が続けられているが、まだ技術的な課題があるという。実際に飛行する機体を一部組み上げてエンジンに点火する燃焼試験なども行う必要があり、日程的には厳しい状況だ。
時事通信