
北朝鮮は5日、弾道ミサイルと推定される飛翔体少なくとも1発を朝鮮半島の東側の海に向けて発射した。周辺各国の軍が発表した。韓国大統領選を数日後に控えて発射実験が実施されたとみられている。
韓国軍合同参謀本部と日本の首相官邸は、発射された飛翔体は弾道ミサイルの疑いがあると発表した。
発射は今年9回目。前回の発射は2月27日に実施され、北朝鮮は偵察衛星のシステムをテストしたと発表していた。
韓国軍によると、5日の発射は平壌の国際空港がある順安付近から行われた。この地域では2月27日の発射を含め、過去にも実験が行われている。
日本の岸信夫防衛大臣は、「国際社会がロシアによるウクライナ侵略に対応している中、また、北京パラリンピック開催中での発射であり、断じて容認できるものではない」と述べ、次のように続けた。
「北朝鮮によるミサイル関連技術の著しい発展はわが国および地域の安全保障にとって看過できない」
岸氏によると、北朝鮮が発射した飛翔体は最高高度550キロ(340マイル)に達し、300キロ(190マイル)程度飛んだ。
韓国の大統領府「青瓦台」は、NSC(国家安全保障会議)が緊急会議を開くと発表した。
今回の発射は、3月9日の韓国大統領選挙で勝利した者が直面する課題を明白にするものだ。
非核化交渉が行き詰まる中、北朝鮮は1月に記録的な回数のミサイル発射を実施した。北朝鮮は近い将来、偵察衛星の打ち上げを準備しているとみられている。北朝鮮はまた、核兵器や最も射程の長い大陸間弾道ミサイル(ICBM)の実験を、2017年以来初めて再開する可能性を示唆している。
アナリストは、北朝鮮が近々韓国で予定されている新大統領の就任や4月15日の太陽節を利用して、新型ミサイルなどの試射を行う可能性があるとみている。
ワシントンに拠点を置くウィルソン・センターのジーン・リー研究員はTwitterへの投稿で、「ウクライナに世界の注目が集まる中、北朝鮮のミサイル発射実験のタイミングは奇妙に見えるかもしれない」とする一方、「北朝鮮では、4月半ばに実施される大規模軍事パレードで金正恩氏が披露するための完璧な新兵器に科学者らが注力しており、完璧に理にかなっている」と指摘した。
国連安全保障理事会の決議は北朝鮮の兵器開発計画に対して制裁を加えており、北朝鮮による弾道ミサイルの発射は禁止されている。
米国は前提条件なしの対話に応じるとしているが、北朝鮮は米国とその同盟国が敵視政策を放棄した後でなければ対話は不可能だとしている。
米国を拠点とし、北朝鮮を監視している38ノースは4日、北朝鮮の主要な核施設が本格的に稼働しており、核兵器の製造に使われる可能性のある核燃料の生産や、核生産施設の拡大が進められていると指摘した。
ロイター