
AP、成都、中国
中国、日本、韓国の首脳が火曜日の3カ国首脳会談で、北朝鮮の核及びミサイル開発プログラム停止に向けての相互努力を再確認しあった。この背景として、北朝鮮による制裁緩和要求が高まりつつあることがあげられる。
中国の李克強首相、日本の安倍晋三首相、韓国の文在寅大統領との間で行われた中国南西部の成都市における会談では、自由貿易と経済協力もその主要な議題となっていた。
李首相によれば、三首脳は「対話と諮問こそが朝鮮半島の諸問題を解決するための唯一の効果的方法である」ということで合意したという。
「我々三カ国は、引き続き国際社会と前向きに協働しながら、朝鮮半島の問題を政治的手段をもって解決していく意向です」と会談後の共同記者会見で李首相は述べた。
北朝鮮は、その制裁緩和が年末までに行われない場合は、なんらかの行動を起こすと圧力をかけている。もっぱらの憶測としては、新たなミサイルまたは核弾頭を装備できる大陸間弾道弾のテストを行うものとみられている。
北朝鮮は、彼らが米国に贈る「クリスマスプレゼント」の中身は米国政府の出方次第だと 言っている。
さらに李、阿部、文の三首脳は、経済、環境問題、人材交流に関する地域的協力を強化していくことについても話し合ったという。
「我々は皆自由貿易と経済統合の促進を提唱しています。中国は、自由貿易の保護によって多国間協調そして世界平和を守ることができると考えます」と李首相は語った。
文大統領はコメントの中で、「非核化と世界平和が現実的に促進される」よう、三国が米国と北朝鮮の間の話し合い再開に向けてサポートしていくことで合意したと述べた。
阿部首相はそれを受けて、北朝鮮のミサイル発射は国連決議に反するものであり、地域の安保を著しく脅かすものだとして非難している。
「その目的のためにも、国連安保委員会による決議の完全実施が重要な意味を持っており、米国と北朝鮮間の折衝プロセスにおける機運を保持させる必要が有ります」と阿部首相は 語った。
中国は、北朝鮮政府の投資、外交補佐、経済援助の上で最も重要な力を持つ国であるにもかかわらず、金正恩政権を説得して非核化に応じさせることにほとんど成功できていない。米国は、制裁を緩和させる前にまず完全非核化へ向けてのステップを踏むよう要求しているが、中国としては多段階アプローチの方を好む。
中国・日本・韓国による3カ国首脳会談は、1997年のアジア財政危機が発端となって始められるようになった。当時の財政危機は東アジア地域のビジネスに深刻な打撃を与え、より大きな経済統合への動きを促した。この三国は世界貿易の約24%を占め、昨年度の三国間の貿易高は7,200億ドルを上回っている。
トランプ政権の環太平洋連携協定からの撤退で、中国はその代わりとして16カ国から成る東アジア地域包括的経済連携の結成を推し進めてきた。だが、最終的な合意への機運は、今年になって中国のライバルであるインドが参入しない意向を示したことによって暗礁に乗り上げ、今後の成り行きが不透明となっている。
火曜日の会談でもやはり三国間には摩擦が存在している。
日本と中国が最近両国間の歴史的軋轢を克服したのに対して、韓国と日本は今も前世紀における日本の朝鮮半島の植民地化を巡る確執が続いており、その論争は現在二国の生命線とも言える経済関係に影を落としつつある。
李首相は、中国経済を総括する最大の責任者として、日本と韓国の間の摩擦について認識はしているが、それによって中国の自由貿易及び公開市場へのコミットメントが変わることはないと述べた。中国は、政治論争に貿易を「武器」とすることや、中国の主要国営企業を不当に優遇していることについて非難されているが、現在も続いている米国との関税戦争の只中で保護貿易主義に反対する中心的存在となっている。
「我々は、韓国と日本の企業を招聘して、中国で有利な立場に立ち、広範な機会を見出し、より多くのビジネスチャンスを獲得し、共通の成功をさらに実現させてもらおうとしています」と李首相はは言う。
文大統領は、産業転換、気候変動、保護貿易主義に取り組む上で、三国が協力関係を強化することがいかに重要かを強調した。
「我々三国は過去20年間、ビジネス、外交、文化、人材交流、環境問題など、様々な分野で協力してきました」文大統領は言う。「そして今や我々は、世界の平和と繁栄に寄与する北東アジア圏の中核的共同体となっています」