カンヌ:日本の濱口竜介監督が、11日(日)、カンヌ映画祭のコンペ出品作を公開した。これは、何度ものドライブに渡りロードムービーのようなスタイルで描かれる、喪失感と後悔の物語である。
「ドライブ・マイ・カー」は、村上春樹氏の短編小説を映画化した。ベルリンをふくむ映画祭でよい結果を出している濱口監督は、登場人物を包み込む閉鎖された空間のもつ可能性にひきつけられたと話した。
濱口氏はカンヌで同作のレッドカーペットのプレミアの直前に、「登場人物の間の長い会話を通じて、親密さがいかに車の中にもたらされるかということに、私は興味を感じました」とロイターに話した。
7月17日まで開催されるカンヌ映画祭は、2020年の新型コロナウイルスの大流行による中止を経て、復活した。
「ドライブ・マイ・カー」は、西島秀俊が演じる舞台俳優で演出家を中心においており、彼は不義と妻の死によってその結婚が揺るがされた後、完璧に見えた結婚の表面の下に潜んでいた魔に向き合わされる。
2年後、いまだ喪失感をのりこえられていない彼は、『ワーニャ伯父さん』の多言語バージョンを製作するために広島に向かい、みさき(三浦透子)というドライバーを専属につけられ、2人は旅程について会話を始める。
濱口氏は、セリフを手話で伝える口の利けない女優の役を演じた韓国の女優パク・ユリムをふくむ多言語のキャストと働くことを楽しんだと述べた。
「どの役者も互いを理解できないだろうという事実をおもしろく思いました。そのことは、お互いをより注意深く観察させ、違った反応を起こさせるからです」と濱口氏は話した。
この日本映画、とくに主要な役を演じた俳優たちは、批評家たちから早くも賞賛を受けた。
ロイター