

統合型リゾート(IR)担当の内閣府副大臣だった秋元司衆院議員をめぐる汚職事件は、中国企業が参入を目指した北海道留寿都村と秋元議員をつないだ日本人「顧問」の捜査がカギを握った。東京地検特捜部は顧問を知る村幹部ら関係者を幅広く聴取。パイプ役の役割や秋元議員との関係を確認し、約10年ぶりの国会議員逮捕に至った。
特捜部が元秘書2人の自宅を家宅捜索したのは、臨時国会閉会直前の12月7日。中国・深センに本社があるカジノ関連会社「500ドットコム」側が税関への届け出をしないまま100万円超を国内に持ち込んだ外為法違反事件の関係先として強制捜査した。
この捜索直後、特捜部は道庁からIR関連の資料提供を受け、留寿都村幹部や村議らの事情聴取に乗り出す。連日の聴取で際立ってきたのが、ドットコム社の紺野昌彦顧問の役割だ。紺野顧問は選挙コンサルタントとして活動したとされ、フェイスブックには秋元議員との2ショット写真も掲載していた。
関係者によると、紺野顧問は頻繁に留寿都村を訪問し、村の土地を購入。村でIR事業展開を計画していた札幌市の観光会社と関係を築き、秋元議員は2018年2月、村で同社幹部や村長、IR担当の道職員と飲食していた。
顧問は沖縄県での会社設立に関与したこともあり、秋元議員とドットコム社トップが共に講演した那覇市のIR関連シンポジウムでも裏方として活動。地元議会関係者と親しくする一方、裏社会とのつながりもささやかれ、距離を置く関係者もいた。
特捜部はシンポ関係者からも聴取。顧問が果たした役割の解明を進めつつ、秋元議員が内閣府と兼務で副大臣を務めた国土交通省から公用車の利用記録を入手するなどし、捜査の網を狭めていった。
Jiji Press