• クルド人男性が襲われたことで、この地域を支配するトルコの支援を受けた武装勢力とクルド人住民の間の緊張が再燃した
• クルド人住民の要請により、反政府武装組織タハリール・アル・シャームの戦闘員が21日、ジンデリス周辺に一斉に展開した。

ジンデリス（シリア）：数千人のクルド人が21日、地震に見舞われたシリアの町ジンデリスの通りに出て、前夜にクルドの新年を祝うために火を燃やした4人の男性が殺されたことに抗議した。

クルド人男性への攻撃は、この地域を支配するトルコの支援を受けた武装集団とクルド人住民の間の緊張を再燃させた。

この事件は、シリア北西部のさまざまな地域を支配する対立する武装集団間の勢力争いに拍車をかけた。

クルド人住民の要請により、反政府武装組織タハリール・アル・シャーム（HTS）の戦闘員は21日、ジンデリス周辺に一斉に展開した。

反体制派の戦争監視団体であるシリア人権監視団は、HTSが同地区でトルコの支援を受けた敵対する武装組織アフラール・シャルキヤの本部を占拠したと報告した。

HTSの報道官はコメントを控えたが、犠牲者の葬儀にクルド人の群衆が参列する中、同組織の戦闘員が市内とその周辺に多く存在した。一方、トルコ軍は、HTSが支配するアトマの町とジンデリスを結ぶ道路に展開した。

ノウルーズ（イラン暦の元日）を祝って火を燃やしていたクルド人男性を撃った襲撃者は、アフラール・シャルキヤの分派であるジャイシュ・アル・シャルキヤに所属していたとされている。

トルコの支援を受ける諸派の連合体である同地域のシリア国民軍は、クルド人男性の殺害を「最も強い言葉で」非難し、犯人を裁くことを約束する声明を発表した。

21日の夕方、シリア国民軍内の派閥であるHarakat Al-Tahrir wa Al-Binaaの関係者が、殺害の容疑者を逮捕したと発表し、地元当局が「無実の人々に対する犯罪や違反のすべての加害者に断固として、強力に対処する 」と約束した。

ジンデリスは2018年までクルド人戦闘員によって支配されていたが、トルコが支援する反対派戦闘員によって奪取され、現在もそのままとなっている。

この占領により多くのクルド人が避難し、残った人々はしばしば不当な扱いや差別を受けていると訴えている。

抗議者の一人であるクルド人のザカリア・アリ氏は、「私たちは、こうした侵害や人口減少を終わらせるよう求めます」と語った。「すべてのシリア国民は兄弟ですが、犯罪者はそうではありません」

銃撃の数時間後、ジンデリスの一部のクルド人は車列を組んで約9マイル（15キロ）離れたアトマの町に移動し、HTSに対し、トルコに支援された民兵からジンデリスの支配権を奪うよう呼びかけた。

HTSは、アルカイダとの歴史的な関係から、米国をはじめとする西側諸国からテロ組織に指定されているが、この地域のクルド人住民の多くは、トルコが支援する組織よりも好ましいと語った。

HTSの指導者アブ・モハメド・アル・ゴラニ氏は、20日の夜遅くに犠牲者の家族のグループと会い、復讐を約束した。

「あなた方に危害を加えた者は、神の思し召しにより、殺されるでしょう」とゴラニ氏は家族らに語った。

シリアでは、トルコ系武装勢力とクルド人戦闘員との衝突により、双方に多数の死者が出ている。

2016年以降、トルコはシリア国内で3つの大規模な作戦を開始し、シリアの主要なクルド人民兵組織である人民保護部隊（YPG）を標的としている。

トルコはYPGをテロ組織および非合法のクルディスタン労働者党（PKK）の延長であるとみなしている。PKKは数十年にわたりトルコ国内で政府に対し反乱を起こしてきた。

しかし、YPGは、過激派組織ダーイシュとの戦いで米国主導の部隊の基幹を形成し、シリアにおける米国の最重要同盟組織となっている。

AP