Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • instagram
  • Home
  • 世界に食料を供給するための努力

世界に食料を供給するための努力

2020年12月10日、ローマでノーベル平和賞の証書とメダルを手にポーズをとるデビッド・ビーズリーWFP事務局長(ロイター)
2020年12月10日、ローマでノーベル平和賞の証書とメダルを手にポーズをとるデビッド・ビーズリーWFP事務局長(ロイター)
Short Url:
13 Dec 2020 05:12:16 GMT9
コーネリア・メイヤー
13 Dec 2020 05:12:16 GMT9

国際連合世界食糧計画(WFP)は10月、ノーベル平和賞を授与したが、その際にWFP事務局長であるデビッド・ビーズリー氏は「今年末までに2億7000万人が飢餓に直面するだろう」と述べ、その食料供給資金として150億ドル、そして更に3,000万人を飢餓から救う資金として50億ドルを調達する必要があると述べた。 

先週おこなわれた受賞演説で、ビーズリー事務局長は人々に更なる行動を呼びかけた。新型コロナウィルス(COVID-19)によるパンデミックは、今世紀最大の健康危機となっただけでなく、世界的な経済荒廃をもたらし、世界の飢餓人口を倍増させた。 

WFPによれば、パンデミックがピークを迎えた5月には、約3億7000万人の子供たちが 学校給食の供給を受けられなかったという。また、アジア開発銀行と国際労働機関によれば、アジアだけで1500万人の若者(10代の少年少女を含む)が仕事と給料を失ったという。

ビーズリー事務局長は、新型コロナウィルス(COVID-19)以前の飢餓の原因は、60パーセントが紛争だったと指摘し、WFPの活動の80パーセントが紛争地域で行われているのはそのためだと述べた。紛争地域の多くはアフリカと中東である。現在飢餓に直面している3,000万人は、そのほとんどが紛争地域に住んでいる。また、農作物を荒らし、食料供給連鎖を打ち砕く気候変動や異常気象も飢餓の主な原因となっている。

WFPの仕事は飢餓に苦しむ人々に食糧を供給するだけではなく、将来的な飢餓を回避する手段として食料供給連鎖を確立させることにまで及んでいる。WFPはまた、世界最大の学校給食の供給団体でもある。

新型コロナウィルス(COVID-19)によるパンデミックは、今世紀最大の健康危機となっただけでなく、世界的な経済荒廃をもたらし、世界の飢餓人口を倍増させた。 

コーネリア・メイヤー

今回のパンデミック以前、1億3500万人が十分な食料を得られなかった時に、WFPは1億人近い人々への食料供給をおこなった。飢餓人口が倍増した今、WFPの任務も倍以上に膨れ上がっている。 

ビーズリー事務局長は飢餓と人口流出の関連性を指摘した。「食料やある程度の安全を確保できない人々は、両親が子供に食料や安全を与えるためにすべきことをする。つまり、その地から去るだろう」

流出した人々がきっかけとなり、紛争地域周辺の人々によるWFPへの支援が高まったのだろう。2019年の寄付総額は80億円を記録した。しかし、まだ41億円不足している。世界経済が好調であれば人々は寛大になれるが、現在IMFは2020年度には世界GDPが 4.4パーセント縮小すると予想している。WFP最大の援助国である米国とドイツ(それぞれ34億ドルと8億8700万ドルを援助)も、この景気悪化から逃れることはできない。米国とEUは、それぞれ自国民を救うために何兆ドルもの救済措置を用意したが、予算は絶望的に伸び悩み、残りはもうごくわずかである。世界の飢えた人々に食料を供給するために150億ドルを調達するというのは、非常に困難な戦いになるだろう。

しかしビーズリー事務局長は、「現在、世界には400兆ドルの富がある。パンデミックがピークに達した時でさえ、わずか90日間に更に2.7兆ドルの富が生み出された。そして3000万人の人々を飢餓から救うために必要なのは、たったの50億ドルだ」と述べた。世界人口の半分の人々が1人1ドル寄付し、2,095人のビリオネアが1人100万ドル寄付すれば、WFPは60億ドルを調達できるのだ。

人類はこの200年で様々なことを成し遂げた。19世紀初頭には世界人口の94パーセントが極度の貧困の中で暮らしていたが、そういった人々は2015年までにわずか10パーセントにまで減少した。新型コロナウィルス(COVID-19)は、この成果を打ち砕く脅威である。世界銀行は、今回のパンデミックが引き起こす経済荒廃により、最大で1億1500万人が絶対的貧困に追い込まれると予想している。国連の「持続可能な開発目標(SDG)」は、国際社会に支えられながらこういった課題に取り組んでいる。SDGの第一目標は2030年までに貧困をなくすこと、そしてSDGの第二目標はそれまでに飢餓をなくすことである。

ビーズリー氏は受賞演説の最後にこう述べた。「我々に生きる人と死ぬ人を選ばせないでほしい。このメダルに刻まれたアルフレッド・ノーベルの精神である「平和と兄弟愛」の下、全人類に食料をいきわたらせよう」全くその通りである。

  • コーネリア・メイヤー:博士号をもつ経済学者であり、投資銀行業界での30年の経験がある。ビジネスコンサルタント会社「Meyer Resources」の会長兼CEOである。ツイッター:@MeyerResources
特に人気
オススメ

return to top