
政府・与党は21日、物価高騰を受けた緊急経済対策を1兆7000億円程度(留保分を含む)とし、低所得の子育て世帯を対象とした児童1人当たり5万円の支給を盛り込む方針を決めた。財源として2022年度予算の予備費を充当。その補充のため補正予算案を編成し、今国会中の成立を目指す。補正の規模は2兆5000億円程度で、原油高に対応する補助金の拡充も含める。
緊急経済対策の財源をめぐっては、政府・自民党は予備費からの支出を、公明党は補正をそれぞれ主張。参院選を控え、自民党が歩み寄った。対策の具体的な内容は政府内で詰めの調整をした上で、岸田文雄首相が26日にも発表する。
自公の幹事長、政調会長は21日に国会内で会談し、緊急経済対策の主な項目と規模、財源や補正の大枠について合意。その後、自民党の茂木敏充、公明党の石井啓一両幹事長が首相官邸を訪れ、首相に報告した。首相は了承し、補正の編成に向けた作業に入るよう政府内に指示する意向を伝えた。
対策は(1)原油高騰(2)エネルギー・原材料・食料安定供給(3)中小企業(4)生活困窮者―の4項目。(1)は5月分として3000億円、(4)は地方創生臨時交付金拡充に1兆円、5万円支給に2000億円をそれぞれ見込む。
補正は、新型コロナウイルスの感染拡大やさらなる物価高に備え、臨時交付金の留保分約2000億円を除いた額を補充するのが目的で、22年度予算の予備費計5兆5000億円の水準を維持する。これに加え、原油高の補助金6~9月分を確保するため、1兆円強を計上する予定だ。
自公と協議してきた国民民主党は、補助金の適用条件をガソリン1リットル当たり172円から160円台に引き下げるよう政府に求めている。
公明党幹部は、補助金の総額が増えれば補正は2兆7000億円程度に膨らむとの見方を示す。財源については「赤字国債だろう」と語った。
時事通信