
ベルリン時事: 国際原子力機関(IAEA)は29日、東京電力福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出について、安全性を検証する調査団による最初の報告書をまとめた。報告書は処理水が放出された場合に放射線が人体に与える影響について、東電の分析結果を踏まえ、「日本の規制当局が定める水準より大幅に小さいことが確認された」と指摘した。ただ、安全性に関する最終的な判断は、放出前に発表するとも説明。当面結論を出さず、調査を続ける方針を示した。
調査団は2月に訪日し、福島第1原発の視察や関係省庁、東電へのヒアリングなどを実施した。今後も放出までに行う調査のたびに2カ月後に報告書を公表する。東電は、処理水を保管するタンクが満杯となる時期を、2023年夏~秋ごろとしている。
今回の報告書では、処理水放出が安全性に関する国際基準に合致しているかについて、▽放射線による環境への影響の評価▽水質のモニタリング▽利害関係者の関与―など8項目で評価することなどが説明された。
萩生田光一経済産業相は同日、「処理水処分の安全確保と国内外の理解醸成に引き続き取り組む」との談話を発表した。
時事通信