
神奈川大の航空宇宙構造研究室と宇宙ロケット部は8日、秋田県能代市の海岸で、安全で低コスト化が期待できるハイブリッドロケットを打ち上げた。
上空の強い風が影響し、同大が昨年更新した国内記録(約10.1キロ)に到達した可能性は低いとみられるが、今回は燃料の一部に、人気アニメ機動戦士ガンダムシリーズのプラモデル(ガンプラ)から出る廃プラスチックを活用。
持続可能な宇宙開発に向けて前進した。ハイブリッドロケットは、プラスチックなどの固体を、亜酸化窒素などの液体で燃やして飛ぶ。
原理的に爆発や有害ガスの発生の恐れがないが、燃料が燃えにくく、推力向上が課題だ。
同大によると、「CAMUIロケット」で知られる北海道大など国内外で研究が進められている。
今回はガンプラを販売するバンダイナムコホールディングスなどが協力。
回収したガンプラ部品の枠(ランナー)の提供を受け、信州大の加工技術を活用してロケット燃料の一部に再生させた。
神奈川大では2014年からハイブリッドロケットの開発に乗り出しており、今回は昨年の記録更新のため機体を大型化。
全長約4.7メートル、重量は前回の約3倍となる約94キロとなった。
打ち上げ費用も高額となり、一部はクラウドファンディングで募った。
開発を主導する神奈川大の高野敦教授は「(再生プラスチックを燃料に)飛翔(ひしょう)することを確認できた。
こうした廃プラスチックをリサイクルに出す契機になってくれれば」と話した。
時事通信