
政府は11日、新型コロナウイルス対策で実施してきた水際規制を大幅に緩和した。1日5万人だった入国者数上限を撤廃し、外国人の個人旅行やビザなし渡航も解禁。コロナ前から9割以上落ち込んだ訪日客数の回復に弾みがつきそうだ。
11日朝の羽田空港は、多くの外国人旅行客らでにぎわった。米国出身でアジア各国を旅行しているという20代のネイト・オプフェルトさんは、数週間前に日本の入国制限撤廃を知り、この日に合わせて来日を決めた。制限撤廃を「観光客にも日本経済にも良い決断。東京観光を楽しみたい」と語った。オーストラリアから訪れた60代夫婦は3週間かけて東京や関西方面を巡るといい、為替の円安進行で「何をするにもお得だ」と歓迎した。
水際規制が大幅に緩和された日本に入国した人たち=11日午前、東京・羽田空港
全日本空輸のシンガポール―羽田便に乗務した客室乗務員の鎌田莉奈さんは、制限撤廃で外国人の乗客が目に見えて増えたと指摘。「以前のように日本に来られる方がたくさんいることが、とてもうれしい」と話した。
9月下旬の水際緩和発表直後、全日空では12月~来年1月に搭乗する国際線予約が急増。海外発日本行の週間予約数は9月上旬に比べ約5倍になった。日本航空でも海外発を中心に予約数が伸びており、日本への旅行需要は確実に高まっている。
インバウンド(訪日客)消費復活への期待も膨らむ。松屋銀座(東京)は約80言語対応の音声翻訳機を社員に配備。百貨店業界には商機を捉えようとする動きが広がる。
11日には、国内観光の需要喚起策「全国旅行支援」も始まった。JR東海は同日から東海道新幹線を増便。月内に計62本、来月は計530本の臨時列車を運行し、旅客の増加に対応する。
時事通信