
政府は3日、東京電力福島第1原発から出る汚染水を浄化した放射性物質トリチウムが残る処理水の処分方法について、在日外交官向けの説明会を開いた。政府の小委員会が1月末に「現実的な選択肢」と位置付けた海洋放出案などに関し、健康被害はないと強調。2011年3月の原発事故発生以降、政府は被害状況に関する対外発信を強めており、説明会は今回で105回目となる。
外務省内で約1時間半にわたって開かれ、韓国や台湾、欧州連合(EU)など23の国・地域・機関の外交官が出席した。同省によると、政府側はトリチウムを含む処理水の放出は世界中の原発で実施例があると説明。出席者から放出案に対する目立った異論はなかったといい、経済産業省の担当者は記者団に「議論の状況についてしっかりご理解いただいた」と述べた。
処理水を貯蔵するタンクは22年夏ごろに満杯になる見通しだ。説明会では放出のスケジュールに関する質問もあったが、政府側は「いつまでと決めず、しっかり議論する」と答えるにとどめ、当面は風評被害対策などについて地元住民らと協議を尽くす意向を示した。
時事通信社