
ドバイ:4月30日、日本の岸田文雄首相とエジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領が首脳会談を行い、両国の協力関係について協議した。
岸田氏にとって、首相就任後初のアフリカ訪問となった。
日本の外務省の声明によると、岸田氏は、「エジプトは中東・アフリカ地域の平和と安定にとってきわめて重要な役割を果たしており、日本はエジプトとのパートナーシップを重視している」と語った。
エルシーシ氏は、大カイロ都市圏地下鉄4号線第1期整備計画(III)の円借款の調印、スエズ運河における船舶の安全航行確保に向けた調査の開始、食料安全保障強化に関する協力、教育分野における日本式教育の着実な普及、エジプト日本科学技術大学における博士課程を中心とする留学生150名の受け入れ決定、大エジプト博物館に関する協力など、さまざまな分野における日本の支援に感謝の意を表明した。
声明によると、岸田氏は、エジプトが開催したCOP27の成功に祝意を表明し、日本貿易保険によるサムライ債発行支援に言及した。同債は、日本以外の国の企業が日本の規制を受けて東京で発行する円建て債券だ。
岸田首相は、投資先としての魅力が高まっているエジプトへのさらなる進出と投資を日本企業に呼びかけるつもりであるとも述べた。
地域の安全保障については、両首脳は、エジプト・イスラエル間の平和条約の合意事項を監視する国際平和維持軍である多国籍部隊・監視団(MFO)に、日本が人的貢献をさらに強化することで合意した。エルシーシ氏は、地域の安定の維持に対する日本の貢献に感謝の意を表明した。
両首脳は、中東和平計画やスーダン情勢などの地域情勢についても協議した。両首脳は、イスラエル・パレスチナ間で緊張が高まっている現在の情勢に対する深刻な懸念を共有した。
声明によると、岸田氏は、エジプト、ヨルダン、米国、イスラエル、パレスチナによる5者会合における緊張緩和の取り組みを讃えた。これに対し、エルシーシ氏は、パレスチナの情勢悪化の防止と、永続的な和平の実現に向けたエジプトの取り組みを説明した。
スーダン情勢については、両首脳は、一刻も早い事態の沈静化と民政移管プロセスの再開に向けて、緊密に連携していくことで合意した。
岸田氏は、G7議長国、安保理理事国である日本として、近々清水アフリカの角担当大使をエジプトや他の関係国に派遣する予定であり、この地域への積極的な貢献を目指していることを伝えた。