
【東京】日本政府は、許可なくネット上にアップロードされたマンガなどの版権コンテンツのダウンロードを罰する法案を検討しているが、その中で、例外として「特殊な事情」を認める意向であることがわかったと、6日時事通信が伝えた。
法案の概要によると、著作権法改正案には次の条項が入る見込み。特別な事情に該当する行為ないし著作権者の利益を不当に害さないと認められる行為については違法としない、というもの。
政府は今国会会期中に法案の提出を目指す考えだ。
この条項が付け加えられる経緯としては、国民の情報収集活動を過度に縛ることなく海賊版対策の実効性を確保することがあげられる。
消息筋によると、特殊な事情とみなされる事例として、詐欺グループの作ったマニュアルが被害者救済団体のサイトに許可なく掲載されている場合、被害者およびその家族を守るためにこうしたマニュアルをダウンロードする行為、などが当たるという。
文化庁の有識者会議が1月に公表した報告書では、想定する規制では著作権者の利益を害する行為のみを含むかどうかについて委員による意見の一致にいたらなかった。
例外条項の案出は与党自民党とその連立相手である公明党による萩生田光一文部科学大臣への提議に沿う。これは、ダウンロード禁止法から特別な事情は除外すべき、とするものだった。
法案ではまた、数十ページ程度のマンガ作品のうちの数コマ内外といった少量のコンテンツや、既存作品のパロディなどの二次創作についても処罰対象としないと規定するもようだ。
また、いわゆるリーチサイト規制も入る。これは海賊版サイトへネットユーザーを案内するサイトのことだ。
政府は昨年、著作権法改正案の提出を目指した。著作物全般のダウンロードに規制範囲を広げるねらいだったが、こうした修正が施されればネット利用が衰えかねないとの懸念を受け、廃案となった。
時事通信社