
介護人材の不足が見込まれる中、外国人が従事できる業務範囲の拡大に向け、厚生労働省の有識者検討会が24日初会合を開き、議論に着手した。コミュニケーション面での懸念から認められていない自宅などへの訪問サービスについて、解禁するか検討。年内に制度見直しの方向性を示す。
外国人の技能実習や特定技能の制度で、介護施設での従事は可能となっているが、自宅に出向いて入浴や食事の介助などを行う訪問サービスは対象外。在宅では、職員が利用者と1対1で業務に当たるのが基本で、言葉の問題などへの懸念が拭えないためだ。しかし、人材不足に悩む現場から見直しを求める声が出ており、検討会は対応を話し合う。認める場合の条件も議論する。
このほか技能実習では、現在は人材を確保できる介護事業所の条件を「開設後3年以上」に限定。また、介護施設の人員配置基準で職員として算入できる外国人を「実習開始から6カ月経過した人」と定めている。これらの規制緩和も協議する。
技能実習を巡っては、政府の有識者会議が現行制度の廃止と人材の育成・確保を目的とした新制度の創設を打ち出した。厚労省検討会もこれに合わせ、介護分野の制度の在り方を議論する。
会議では出席者から「現場では人材不足が切迫しており、現役世代の急減という新たな局面を踏まえた検討が必要」「外国人材は諸外国との取り合いになっていることを念頭に議論すべきだ」といった意見が出された。
厚労省によると、2040年度に必要とされる介護職員は約280万人。人材確保が進まなければ不足が見込まれる。
時事通信