
走行中の京王線車内で2021年、乗客1人をナイフで刺し、車内に放火して計13人を殺害しようとしたとして、殺人未遂と現住建造物等放火などの罪に問われた無職服部恭太被告(26)の裁判員裁判の判決が31日、東京地裁立川支部であった。竹下雄裁判長は「凶悪で卑劣な犯行」として、懲役23年(求刑懲役25年)を言い渡した。
竹下裁判長は、服部被告が元交際相手の結婚や勤務先で慣れ親しんだ部署からの異動をきっかけに自殺を決意し、死刑になることを計画したと指摘。「自分勝手な理由から、偶然電車に乗り合わせた多数の乗客の生命を狙った無差別的な犯行だ」と述べた。
争点だった放火による殺人未遂に関しては、検察側が被害者とした乗客12人のうち、ライター点火時に服部被告と同じ車両か直近の連結部にいた10人について「生命侵害に対する現実的、具体的な危険性があった」と罪の成立を認めた。炎や爆発の様子を撮影した映像を根拠に、「わずかな時間の違いで多くの死傷者が出てもおかしくない状況で凶悪、卑劣な犯行」と断じた。
ナイフによる刺傷についても「傷が深く、一時心肺停止に陥った。生命の危険が非常に高いことは明らかだ」と非難した。
判決によると、服部被告は21年10月31日午後7時55分ごろ、東京都調布市内を走行中の京王線特急車内で、乗客の70代男性をナイフで刺殺しようとした。また、別の乗客10人に目掛けてライター用オイルをまき、火が付いたジッポライターを投げて放火し、殺害しようとした。
時事通信