
東京:日本政府は、福島第一原発の処理水海洋放出後、日本国内の事業者に対して嫌がらせの電話が相次いでいることを受け、中国政府に「在中国日本人の安全を確保」するよう求めた。
日本政府は処理水は安全だと主張しており、国際原子力機構(IAEA)もその見解を支持している一方、中国は海洋を汚染するとして強く反対し、日本からの水産物の輸入を全面的に禁止した。
2023年8月27日日本政府は、福島県沖の海水の放射能濃度が安全基準値内に収まっていることを示す新たなデータを発表した。
東京電力が、東日本大震災で被害を受けた福島第一原発の原子炉の冷却に使用された処理水の海洋放出を開始した26日から、日本の事業者に対し中国からの迷惑電話が相次いだ。
東京のコンサートホールから岩手北部の水族館まで、日本国内の企業や団体から、中国語を話す人たちからたくさんの電話がかかってくるようになり、通常の業務が困難になっているとの報告があった。
外務省は26日深夜に声明で、アジア大洋州局長の鯰博行氏が、迷惑電話が相次いでいることについて遺憾の意を表し、在日中国大使館の高官らに冷静な対応をとるよう申し入れたと発表した。
外務省の声明によると、同様の出来事が中国にある日本関連施設に対しても起きていると、鯰氏が中国大使館の高官らに伝えたという。
「中国政府に国民に冷静な行動を呼びかけるなど、適切な対応を行い中国在留邦人や外交官らの安全確保に万全を期するよう強く求めた。」
在中国日本大使館は、中国の在留邦人らに、大きな声で日本語を話すことを控えるよう呼びかけている。
福島のある事業者は共同通信の取材に対し、25日金曜、経営する4つのレストランと菓子店に合計約1000件の電話があり、そのほとんどが中国からだったと語った。
そして電話の線を抜かなければならなかったという。
福島市長の木幡浩氏は26日、市役所は2日間で約200件、同様の迷惑電話を受け、学校や飲食店、ホテルもまた標的となっていると、フェイスブックに投稿した。
また投稿で「日本政府に報告し、対応を求める」と述べた。
中国のSNSでは、福島にある飲食店など日本の番号に電話をかける様子を映した動画が投稿された。
東京電力は2011年3月、約1万8000人が地震と津波によって死亡した東日本大震災で震災しメルトダウンした福島の原子炉3基を冷却するために使用された、オリンピック用の水泳プール500杯分に相当する処理水を放出している。
処理水はトリチウム以外の放射性核種を取り除いている。
環境省は27日、福島沖の海水を新たに検査した結果、トリチウムの上昇は見られなかったと発表した。
また、採取した水にはセシウムなど他の放射性物質に由来するガンマ線放出核種も全て検出下限未満だったと付け加えた。
AFP