
ニューヨーク:オマーンの外相が国連演説を行い、国連はパレスチナ問題について二国家間解決を行う「道義的義務」があると述べた。
サイード・バドル・アル・ブサイディ外相は23日、ニューヨークで開催された第78回国連総会で演説した。
同外相は、パレスチナ問題を「70年以上続く不公正」だと指摘。
また、「それにも関わらずパレスチナの人々は、イスラエルによる残忍な占領、禁輸、虐待、国際法と安保理決議に対する違反と向き合い、信念と決意を堅持している」と述べた。
オマーンは正義と公平、国連憲章の尊重を信条としており、これは「すべての平和的国家と同様、パレスチナ問題には二国家解決以外に解決策はないと考えている」ことを意味すると、同外相は語った。
また同氏は、紛争の解決や対立の解消において国連のシステムへの「依拠を続ける」ことをすべての国に訴え、国連には「パレスチナ人の痛ましい苦しみに終止符を打つ」義務があると付け加えた。
そしてこれは、イスラエルが1967年6月の国境線まで撤退し、東エルサレムを首都とする独立したパレスチナ国家を樹立することによってのみ実現できるとした。
ロシアとウクライナによる戦争もまた、「痛ましい人道的結果」を引き起こしていると、同外相は述べた。
この戦争は「国際平和に対する重大な挑戦であり、また、世界の供給システムの適切な機能に対する挑戦でもある」とした。
同外相は、国家主権と善隣政策だけでなく、「何者も傷つけないという原則に基づいた」両者間の対話と和平交渉を訴えた。
一方アル・ブサイディ外相は、「オマーン・ビジョン2040」の一部である、同スルタン国の環境保護目標についても概説した。
同国は現在、2050年までのネットゼロを目指しており、「持続可能な開発を促進するための国家的アプローチ 」の一環として、今年後半にアラブ首長国連邦(UAE)が主催するCOP28に参加する。
オマーン・ビジョン2040では、教育システムの現代化も「重要な鍵」と捉えていると、同外相は述べた。
さらに、ポストパンデミック戦略の一環として、オマーンが保健衛生対策に関する世界閣僚会議を主催することについて力説した。
「我々が(パンデミックから)学んだ最も重要な教訓の1つは、早期に準備するということです」と、同氏。
「目標は、増大しつつある公衆衛生に対する危険を軽減することです」とし、パンデミック対策を策定するための共同研究に参加するよう、他国に呼びかけた。
他方、オマーンは人間の尊厳を尊重する国際社会を実現するため、人権に関する「手段」を強化し促進する「真剣な大志」を抱いていることに、アル・ブサイディ外相は言及した。
同外相は、暴力や憎悪の扇動はこの原則に反するものであるとして非難し、そうした行為を犯罪とする「明確かつ断定的な」法律の採択を求めた。
さらに、宗教や信条、人種に基づく差別は、社会の平和と安全、ひいては「国家と社会の安全保障」に対する脅威となると語った。
アル・ブサイディ外相は、「国際社会全体」に対して「平和と正義を守るよう」呼びかけて、演説を締めくくった。
「我々は現在、世界中で多くの複雑な課題に取り組んでいます。気候変動や伝染病のまん延、麻薬の取引や人身売買などですが、その中に様々な形式の対立というのも含めなければならないでしょう」
「そうした現状を背景として、我々は、平和と正義の原則を堅持し、国際法の原則を一切の二重基準なく適用することで、信頼を勝ち取り、国家間の信用を築き、国や人種・民族の枠を超えたパートナーシップを築くよう国際社会全体に呼びかけたいと思います」