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パレスチナ合同治安部隊、レバノンの難民キャンプ内の紛争多発地点に配備

アイン・アル・ヒルウェ難民キャンプでパレスチナ派閥間の衝突が発生し、煙が立ち上る。レバノンのシドン。(ロイター/ファイル)
アイン・アル・ヒルウェ難民キャンプでパレスチナ派閥間の衝突が発生し、煙が立ち上る。レバノンのシドン。(ロイター/ファイル)
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26 Sep 2023 06:09:33 GMT9
26 Sep 2023 06:09:33 GMT9
  • 暴力が数週間続いた末に結ばれた停戦合意の履行に伴うもの;部隊の司令官は、これまでのところ円滑に進んでおり協力も順調だと述べた
  • 次の段階は、国連の学校施設を占拠している武装派閥の撤退と、7月にファタハ幹部を殺害したとされる容疑者の引き渡し

ナジャ・フーサリ

ベイルート:25日、アイン・アル・ヒルウェ難民キャンプ内の紛争多発地点2ヶ所にパレスチナ合同治安部隊が配備された。同キャンプにおいてファタハと過激派組織の間で発生した流血を伴う衝突を終結させるために12日前に結ばれた停戦合意の条項の履行開始に伴うものだ。

合同治安部隊には、ハマス、アスバト・アル・アンサール、アル・ハラカ・アル・イスラミヤ・アル・ムジャヒダなど、同キャンプに関与している全てのパレスチナ組織の軍代表が含まれる。

合同部隊の司令官であるアフメド・アル・アジューリ少将はアラブニュースに対し、配備された部隊には兵士45人と将校らが参加していると語る。妨害もなく円滑に進んでおり、全関係者間の協力も順調だという。

部隊が配備されたのは、過激派組織が支配するアル・サフサフ地区とファタハが支配するバラクサト地区を分けるアル・ブラークと呼ばれる地点と、アル・ティリと過激派支配下のアル・ラス・アル・アフマルの間の境界だ。

アル・アジューリ少将は、部隊配備後は「キャンプ内の人々の間に安堵の雰囲気」があると話す。また、「状況は前向き」だとしたうえで、次の段階は国連近東パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校施設にバリケードを築いて立て籠もっている武装派閥の撤退だと語る。パレスチナ共同行動委員会は今週、紛争に関与する両陣営を交えて会合を開き、双方の軍の学校からの同時撤退を手配する予定だという。

これらの学校の運動場は、4つの学校を占拠する過激派組織のメンバーらと、別の4つの学校に立て籠もっているファタハ戦闘員らが戦う戦場と化した。

ここ数週間の衝突の結果としてキャンプが被った被害について、アル・アジューリ少将は次のように話す。「破壊の程度は様々だが、武装集団によって被害を受けた場所から戦闘員を立ち退かせるまでは被害の程度を評価することは不可能だ」

「停戦合意条項の第2段階が実現すれば、ファタハ幹部のモハメド・アル・アルムーシ将軍を暗殺したとして指名手配されている者たちのレバノン治安当局への引き渡しという条項の履行はそれほど難しくなくなるだろう。この条項は合意の中で最も重要なものであり、指名手配犯が引き渡されるまではこの件は終わらない」

ファタハは、過激派組織のメンバー8人が7月下旬にアイン・アル・ヒルウェ難民キャンプを襲撃してアル・アルムーシ将軍を殺害したと非難している。容疑者らは同キャンプ内の過激派支配下のアル・ターミル(キャンプからレバノンの土地に拡張された地区)などの一部の地区に潜伏しているとみられる。

アル・アルムーシ将軍の暗殺をきっかけにキャンプ内で流血を伴う戦闘が勃発し、レバノン人兵士を含む数十人のパレスチナ人とレバノン人が死傷、数千人が避難した。これまでに停戦の試みが4回あったが、事態の沈静化には至らなかった。

アイン・アル・ヒルウェ難民キャンプ内の指名手配犯の問題を担当するパレスチナ当局者のガッサン・アユーブ氏はアラブニュースに対し次のように語る。「キャンプ内には衝突の前線とみられる地点が6ヶ所あり、治安部隊はそれらの地点に配備され別々の部隊として活動することになっている」

また、現在の努力の焦点はキャンプ内の安定回復だとしたうえで、それは停戦合意の条項のもとで指名手配となっている者らを逮捕することで実現するだろうと言う。

「今回の合意の中核は、停戦と、このキャンプとつながっているレバノンの地区であるアル・ターミル地区に潜伏している指名手配犯の引き渡しだ」とアユーブ氏は語る。「パレスチナの部隊はアル・ターミルに入れないため、それはレバノンの責任だ」

UNRWAは、次の措置を決定する前に現地の治安状況を監視していると述べた。同機関に近い情報筋はアラブニュースに対し次のように語る。「UNRWAの学校施設における活動再開は複雑な問題だ」

「過激派の学校からの立ち退きが完了したら、そこで行われた戦闘の残滓を撤去しなければならない。特に、爆弾がある可能性があるし、地雷もあるかもしれない」

「撤去の完了を発表した後は、技術者チームを編成して被害の程度を調査する予定だ。復旧を開始するには安全の保証が必要だからだ」

これまでに届いている報告が示唆するところでは「学校の被害は大きく、新年度を開始できる可能性を調査するのは時期尚早」だという。

アイン・アル・ヒルウェ難民キャンプ内のUNRWAの学校に登録されているパレスチナ人生徒は5900人いる。彼らを近隣の国連が運営する学校に移すことは現時点では不可能だ。それらの学校は、最近の戦闘で家族ごとキャンプから避難してきた子供たちによって既に受け入れの限界に達しているからだ。報告が示唆するところでは、キャンプ外のUNRWAの学校ではキャンプから避難してきた約1000人の子供が学んでいる。ただ停戦発表後には、家が被害を受けていない一部の避難家族が帰宅したため、その人数は700人に減った。

この情報筋によると、UNRWAは他に学ぶ場所のない生徒の増加に対応するために、キャンプ外の学校での「二交代」制を検討しているという。

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