アインアール、レバノン:木曜日、数百人のレバノン在住アルメニア人が、ベイルート北部にあるアゼルバイジャン大使館前で機動隊ともみ合いになった。ナゴルノカラバフの分離を謳うアルメニア系勢力から、この飛び地を奪還したアゼルバイジャンの軍事行動に対する抗議活動の最中であった。
レバノン首都郊外のアインアールで行われたデモでは、参加者がアルメニアとナゴルノカラバフの旗を振り、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領のポスターを燃やした。
レバノンの機動隊は、デモ参加者が大使館の建物に向かって爆竹を投げつけたことを受け、催涙弾を発射した。
先週の24時間におよぶアゼルバイジャン軍の電撃戦により、アゼルバイジャンから分離を謳うアルメニア系勢力は武器を捨て、ナゴルノカラバフのアゼルバイジャンへの「再統合」に関する協議に応じることに同意した。分離派政府は木曜日、同政府組織を解体し、30年にわたって独立を模索してきたこの未承認の共和国は年末までに消滅すると発表した。
水曜日夕方の時点で、ナゴルノカラバフの人口12万人の50パーセント以上が、この地を離れてアルメニアに向かった。アゼルバイジャン当局はアルメニア系住民の権利を尊重すると約束したが、多くの人は報復を恐れている。ナゴルノカラバフ分離派政府の元指導者は、避難した他の数万人とともにアルメニアに入国しようとしたが身柄を拘束された。
この飛び地の独立運動中、レバノン在住のアルメニア人はお金と物資を送り、彼らがアルツァフと呼ぶナゴルノカラバフを支持する運動をメディアで積極的に展開した。
レバノンは前例のない経済危機の渦中にあり、銀行が厳しい引き出し制限を設けているため、最近ではナゴルノカラバフに対するレバノン在住アルメニア人の金銭的な支援が制限されるようになっている。
レバノンは人口約600万人の地中海に面した小さな国で、約15万人のアルメニア人が住んでいる。アルメニア国外では世界最大のアルメニア人コミュニティーのひとつで、そのほとんどがオスマン帝国末期に起きた1915年のアルメニア人虐殺で生き残った人たちの子孫である。
このとき推計で150万人が殺害され、この事件は学者の間では20世紀最初の大量虐殺と広く認識されている。トルコは、死者数が内戦や暴動の犠牲者を含めて水増しされているとし、大量虐殺に当たることを否定している。
AP