Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter
  • Home
  • 中東
  • ノーベル平和賞受賞者のイラン政府による拘束を国連専門家が指摘

ノーベル平和賞受賞者のイラン政府による拘束を国連専門家が指摘

2022年9月に若い女性がイランの「道徳警察」にヒジャブの着用方法を理由に逮捕された後死亡した事件を受けて、テヘランで抗議活動が発生した。2023年10月6日発表の国連の調査報告書は、2022年の抗議活動に対する大規模な取締りにおいてイラン当局が為した人権侵害の程度と範囲を明らかにしている。(AFP / 資料写真)
2022年9月に若い女性がイランの「道徳警察」にヒジャブの着用方法を理由に逮捕された後死亡した事件を受けて、テヘランで抗議活動が発生した。2023年10月6日発表の国連の調査報告書は、2022年の抗議活動に対する大規模な取締りにおいてイラン当局が為した人権侵害の程度と範囲を明らかにしている。(AFP / 資料写真)
Short Url:
07 Oct 2023 08:10:02 GMT9
07 Oct 2023 08:10:02 GMT9

国連:イランは抗議活動参加者に断固たる対応を行い、今年度のノーベル平和賞受賞者であるナルゲス・モハンマディ氏を初めとする人権活動家らを不法に拘束し、「驚異的な」ほどの件数の死刑執行を行っていると、10月6日配布の報告書において国連の独立調査官が述べている。

2022年10月から今年7月までの期間を対象とする、ジャベド・リーマン氏による広範な報告書は、テヘランの悪名高いエヴィン刑務所の独居房からなお女性の権利を訴えて続けてきたモハンマディ氏へのノーベル平和賞の授与という10月6日早朝の発表の前に書かれていた。

パキスタン出身でロンドンのブルネル大学の国際人権法教授であるリーマン氏は、国連総会への報告書の中で、人権関連の活動のために収監された弁護士や人権擁護者の中からモハンマディ氏に特に言及している。

リーマン氏は、2022年に少数民族であるクルド人のマフサ・アミニ氏(22歳)が頭部を覆うスカーフ「ヒジャブの不適切な着用」により逮捕され死亡したことに端を発する全国規模の抗議活動に対するイラン当局の「過剰で致死的な武力行使」を強く批判した。

抗議活動への参加により、7月末までに、少なくとも537人が死亡し、その中には子供68人と女性48人が含まれ、また、数百人が負傷し、「数千人が逮捕、拘留、投獄されているとの報道がある」と、リーマン氏は述べている。

リーマン氏は、イラン政府がアミニ氏の死やデモ参加者に対する違法な武力行使について独立した透明性のある調査を実施していないことへの失望を表明した。

リーマン氏は、イランの最高指導者ハメネイ師と同国の政府、司法、議会に対し、アミニ氏の死についての「全責任を認め」、直ちに是正措置をとるよう勧告した。

ジュネーブに本部を置く国連人権理事会によって調査官に任命されたリーマン氏は、また、ハメネイ師とイラン当局に対して、抗議活動参加者の殺害について迅速で独立性のある調査を行い、「少女や女性の抗議活動参加者に対する性暴力や嫌がらせを含むあらゆる形態の暴力を即座に停止する事」も勧告した。

イランの治安部隊が、抗議活動の余波で、教師、そして、労働組合や少数民族グループの支持者を含む少なくとも576人を逮捕したと、リーマン氏は述べている。

「イラン政府による逮捕と暴行は、人権活動家や市民権活動家、特に女性の権利やアミニ氏の死についての説明責任を求める人々を処罰し沈黙させることを目的としているのだと考えられる」と、リーマン氏は述べ、人権問題を専門とする弁護士もその活動のために収監され続けていると付け加えた。

「人権擁護者のナルゲス・モハンマディ氏は懲役16年の実刑判決を受けて服役中である」と、リーマン氏は調査報告書の中で特にモハンマディ氏に言及している。

リーマン氏は、自身が受け取った「夥しい数の報告書」がイランにおいて「意見表明と表現の自由、そして参加の権利が深刻な脅威に晒されていることを立証している」と付け加えた。

抗議活動などについての独自の報道をを行ったジャーナリストの逮捕・脅迫についての「重大な事実記録」もリーマン氏の調査報告書の中で取り上げられている。

リーマン氏によると、7月末時点で、ニロファー・ハムディ氏とエラヒ・モハンマディ氏を含むアミニ氏の死を報じた21人のジャーナリストが収監されたままであり、「敵対する米政府との協力」や「国家安全保障に対する共謀」、政府当局に対するプロパガンダ活動の罪でこの21人は告発されているという。

「こうした容疑には厳しい刑罰が科せられ、死刑になる可能性もある」と、リーマン氏は述べている。

また、リーマン氏は、「全国の女子学校で毒物使用の疑いがあるという憂慮すべき報告」にも言及している。そうした事件が全国的な抗議活動のわずか数週間後に始まった点に同氏は懸念を表明している。

ゴム州で昨年11月30日に最初の事例が報告されて以来、イラン全国に100以上ある女子学校から、対象を限定した毒物使用が78件あったとの報告があったとリーマン氏は述べている。同氏は、また、被害者の大半は女子生徒で、13,000人以上の生徒が治療を受けたと述べている。被害者の症状は、咳や呼吸困難、同期、頭痛、吐き気、嘔吐、手足の痺れなどだったという。

数多くの親がこうした毒物使用を恐れて彼らの娘を学校から引き上げたと、リーマン氏は調査報告書で述べている。

イラン当局が女子生徒やその親、教師、ジャーナリスト等に対して嫌がらせを行い、暴力を行使し、また、説明責任を求めたり、イラン当局が毒物の使用に加担したまたはそれを阻止出来なかったと非難する人々を逮捕・脅迫していることに、リーマン氏は深刻な懸念を表明した。

リーマン氏は、2022年の「死刑執行件数の夥しい増加」を報告している。少なくとも582の死刑が執行され、その内256件は麻薬関連犯罪によるものだったという。2023年に入ってからは、7月31日の時点で、419人の死刑が執行されたとの報告があり、その内239人は麻薬関連犯罪だったとリーマン氏は付け加えている。

全国規模の抗議活動が開始されて以来、少なくとも7人がそうした活動に関与したとして処刑されたとリーマン氏は述べている。

リーマン氏によれば、それら7人の被告の内6人がイランに熱烈な忠誠を誓う民兵ボランティアのバスィージや警察官を襲撃し殺害したことを自白したとイラン政府は主張しているという。

「拷問によって自白が引き出され、公正な審理を受ける権利を実質的に侵害された公判の後に死刑が執行されたとの報告を受け非常に憂慮している」と、レーマン氏は述べている。7人の抗議活動参加者の処刑は「市民的及び政治的権利に関する国際規約」に違反していると考えていると同氏は自身の見解を表明している。

AP

特に人気
オススメ

return to top