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トルコ製ドローンに重要な部品を供給している欧米企業

バイラクタルTB2無人戦闘航空機は、アゼルバイジャンのバクーにて2022年5月に開催されたテクノフェスト航空技術フェスティバルのデモフライトにてその姿が目撃された。(ロイター)
バイラクタルTB2無人戦闘航空機は、アゼルバイジャンのバクーにて2022年5月に開催されたテクノフェスト航空技術フェスティバルのデモフライトにてその姿が目撃された。(ロイター)
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10 Oct 2023 09:10:10 GMT9
10 Oct 2023 09:10:10 GMT9
  • 少なくとも2社の欧米企業がドローン用の重要部品を供給したことがある
  • 兵器専門家によれば、供給されたセンサーは、無人航空機が地上目標の監視、識別、および空爆を実行できるようにするためのものだという

アンカラ:トルコは近年、クルド労働者党およびイラクとシリア内にいる同組織との同盟勢力を相手取った戦闘において、空爆の使用をエスカレートさせてきた。

イラクの現地当局や兵器専門家によれば、そうした空爆の多くは、バイラクタルTB2を含めた武装ドローンによって行われているという。

製造しているのはイスタンブールに拠点を置くバイカル。同社はハルク・バイラクタル氏とセルチュク・バイラクタル氏の兄弟が経営する会社で、セルチュクはトルコのタイップ・エルドアン大統領の娘と結婚している。同社は1980年代、兄弟の父親であるオズデミル氏が創業したもので、2005年からドローンへの注力を始めた。コメントを求めたが同社からの返答はなかった。

少なくとも2社の欧米企業がドローンの重要部品を供給した。部品の中には光学センサーが含まれる。兵器専門家によると、それらのセンサーは、無人攻撃機が地上目標の監視、識別、および空爆を行うためのものだという。欧米企業が制裁に違反したことを示す兆候はない。

ドイツの防衛用電子機器メーカーであるヘンゾルトはロイター通信に対し、同社は2020年から同社の製品であるARGOS IIセンサーをバイラクタルTB2に搭載しているという。また同社は、以前にARGOS IIセンサーをトルコ航空宇宙産業とLentatekに供給したことがあるという。2社ともトルコのドローンメーカーだ。数量と正確な納期は秘密情報であり、開示することはできないとも語った。

カナダの平和研究機関プロジェクト・プロ―シェアの研究員であるケルシー・ギャラガー氏は、「この種のセンサーがなければ、私たちの知るようなドローンは機能しません」と語った。

ヘンゾルトはさらに、ARGOS IIは同社の南アフリカ支社で開発と製造が行われていること、そしてドイツの輸出法や、兵器転用しうる幅広い軍事装備やテクノロジーの輸出を規制する米国の国際武器取引規則の対象となる部品は使われていないことを付け加えた。

米国の防衛請負企業L3ハリス・テクノロジーズのカナダ支社であるL3ハリス・ウェスカムもまた、過去にトルコへドローン技術を輸出したことがある。2020年10月、カナダ政府は、ナゴルノ・カラバフの飛び地にいたアルメニア側に対し、アゼルバイジャン軍がウェスカムの画像処理・ターゲッティングシステムを搭載したドローンを使用したという疑惑の調査を行う中で、トルコへの軍事装備およびテクノロジーの輸出許可を一時差し止めた。

カナダは2021年4月、ウェスカム製のセンサーを搭載したバイラクタルTB2ドローンが紛争で使われたという確かな証拠を見つけた後、輸出許可を取り消した。

当時のカナダ外相マーク・ガルノー氏は声明の中で、「このような使い方はカナダの外交政策とも、トルコから提供された最終用途証明とも一致しません」と発言した。

カナダ政府は、当時ウェスカムがアルメニアから提供された画像を調査し、2020年に同じシリアルナンバーのシステムをトルコに納入したことを確認したと述べた。カナダ当局およびL3ハリスは本記事に関するコメントの要請に応じていない。ドローンの輸出に関する質問にトルコからの回答はなかった。

TB2ドローンの販売数は過去数年間で急速に増加した。バイカルによれば、同社はこれまでに30カ国とTB2ドローンの輸出契約を結んだという。シンクタンクのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が収集した2022年までの武器貿易のデータによれば、2018年以降の顧客にはウクライナ、エチオピア、リビア、そしてアゼルバイジャンが含まれるという。

ウクライナではTB2ドローンがロシアの走行車両や砲撃システムの破壊に役立てられている。

一方、欧米の当局者はトルコのドローン使用について懸念を表明している。

2021年12月、ある欧米の上級当局者はロイター通信に対し、エチオピアへのドローン販売についてワシントンが「深刻な人道的懸念」を持っていると語った。これはアメリカによるエチオピアへの禁輸措置に違反している可能性がある。2021年5月、アメリカ合衆国国務省は、同省がエチオピアに対して経済および安全保障援助に広範な制限を課したと述べた。エチオピアは内政干渉であるとしてアメリカを非難。エチオピア政府と北部のティグライ州の指導者との間で起きている紛争によって数千人の民間人が犠牲となり、数百万人が移動を余儀なくされた。

ロイター

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