
ベイルート:イスラエル・ハマス紛争をめぐってより広範な戦争への恐れが高まる中、レバノンは「奈落に陥る」危機にあると、レバノンの財界幹部が警告した。
商工会議所連合の会長であるモハメド・チョウケア氏は、食料の備蓄が供給を脅かしている一方で、国内外からの注文の減少により国内の産業活動は3分の1以上減少していると述べた。
同氏は「全ての政治勢力と関係者に対し、ガザ地区の戦争がレバノンに拡大する可能性によって、国民経済および国家が奈落に陥るのを防ぐために、必要な措置を講じる」ように要請した。
チョウケア氏は、レバノンのホテルの稼働率は10パーセント未満にまで落ち込んでおり、ほとんどのイベントや会議がキャンセルされていて、夜の娯楽業界もほぼ麻痺していると述べた。
この財界の長の警告は、ヒズボラ戦闘員とイスラエル軍がレバノンの南部国境で小競り合いを続ける中で発せられた。
ヒズボラは25日に、イスラエル軍との戦闘でメンバー2名が死亡し、10月8日以降の組織内の死者数が36名となったと発表した。
国連平和維持軍の報道官であるアンドレア・テネンティ氏は、25日にブルーライン沿いで攻撃の応酬が続いたと述べたが、UNIFIL (国連レバノン暫定軍)のパトロール隊は交戦において標的とされたり攻撃を受けたりはしていないと付け加えた。
「我々の平和維持隊は引き続き任務にあたり、パトロールなどの活動を続けている」と、同氏は述べた。
イスラエルは、レバノン南部でイスラエル軍への砲撃を企てた5つのヒズボラグループを排除したと発表した。
ヒズボラは2日続けて、イスラエル軍のJal Al-Alamの拠点を誘導ミサイルで狙い、国境の西部地区にある別のイスラエル軍の標的に砲撃を行った。イスラエル軍は南部国境の町々への砲撃で応戦し、住宅を被弾させた。
ある軍事監視員はアラブニュースに、ヒズボラとイスラエル軍は「この18日間にわたって戦争状態」にあると語った。
この人物は、地形や軍事作戦で使用される先進技術を考慮すれば、ヒズボラの損失は「大きくない」と表現した。
「イスラエル側は損失をあらわに開示しておらず、一方のヒズボラは、ブルーライン沿いのイスラエル軍の監視装置やセンサーを破壊する作戦を行ったという」と、この監視員は述べた。
イスラエルは、最大15万人の軍勢をレバノンに接する北部国境に駐留させていると見られている。
しかし、イスラエルがガザ地区の紛争を拡大するにあたっては、「地域的および世界的な政治判断」が必要となり、「これまでのところ、多くの検討事項への対処がなされていない」と、この監視員は語った。