
エルサレム:イスラエル軍は29日、ガザ地区で人質となっていた生後10カ月の乳児、4歳の兄、母親が全員死亡したとする、ハマス軍事部門の報告について調査を行っていると発表した。
イスラエル軍は声明の中で「情報の真偽を確認している」と述べた。
また、「ハマスはガザ地区にいる全ての人質の安全に関して全責任を負っている」とし、「ハマスの行動は、9人の子供を含む人質たちを危険にさらし続けている」と付け加えた。
このビバス一家は、幼くして連れ去られたクフィルちゃんの存在により、ハマスが10月7日にイスラエルの南部に奇襲攻撃を行い、拘束した人質の中でも特に注目が集まっていた。
イスラエル軍がこの声明を発表するに先立って、ハマスの軍事部門エゼディン・アル・カッサム旅団は、現在の戦闘停止が始まる前、クフィルちゃんとその兄アリエル君、そして母親のシリさんがイスラエル軍の爆撃によってガザで死亡したと発表していた。
少年たちの父親、ヤーデンさんに関する言及は無かった。
ハマスの当局者でガザ地区の前保健相だったバセム・ナイム氏は、29日遅くにケープタウンで開かれた記者会見で、3人の家族は死亡したと語った。
「2~3週間前に、60人のイスラエル人がイスラエル軍の爆撃によって死亡し、現在も瓦礫の下にいることが確認されている」とナイム氏は話した。
「母親と2人の子供は、その中にいることは確かです」
これまでのところ、ハマスが死亡したと主張するイスラエル人の人質について、人数の確認は取れていない。
人質・行方不明家族フォーラムが親族を代表して発表した声明によれば、詳しい情報が入るのを待つしかない状況だという。
「私たちの家族は、ハマスの新たな発表を聞きました。軍関係者がこの情報を確認し、否定してくれるのを期待しています」と同団体は述べた。
イスラエル南部のキブツ・ニル・オズから誘拐されたこの乳児の写真は、凄惨な襲撃事件が起きたことを物語るシンボルの1つとなっている。
この写真には苦痛に顔を歪める母親が、毛布にくるまった赤毛の少年2人を抱きしめている様子が写し出されている。
彼らの父親もまた写真に収められており、武装したハマスの戦闘員が頭部を血だらけにした彼をガザ地区に連行する姿が確認できた。
この家族はハマスとは異なるパレスチナの一派に拘束されていることを、イスラエル軍のダニエル・ハガリ広報官が数日前のブリーフィングで明らかにしていた。
ヤーデンさんの妹オフリ・ビバス・レヴィさんは29日、テルアビブのデモに参加し、家族の運命は「ハマスが握っている」とAFP通信に語った。
「家族を連れ去ったのはハマスですから、ハマスが今すぐに連れ戻すべきです」とレヴィさんは話す。
シリさんの妹であるダナ・シトンさんは、彼らの命は「危機に直面しており…日を追うごとに危険が増している」と付け加えた。
イスラエルメディアの取材に答えた栄養士らは、生後10カ月の乳児が人質となることのリスクについて強調した。この年齢はちょうど固形食への適応過程にあるからだ。
過去に起きた人質事件では、ハマスと同盟を組むパレスチナ武装組織のイスラム聖戦が人質の死亡を発表したものの、後に生きて解放されたというケースが確認されている。
AFP通信