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イラン政府こそが問題であり、解決にはつながらない

29 Sep 2019
2019年9月25日、国連総会で演説するイランのハサン・ロウハニ大統領 (AFP)
2019年9月25日、国連総会で演説するイランのハサン・ロウハニ大統領 (AFP)

1979年に聖職者らが台頭して以来、革命理想を押し進め、地域における覇権主義的野心を達成するために、イラン政府は二面戦略を用いてきた。

この戦略の1つめのパートは、他国の不安定化を掻き立て、紛争、内戦を扇動することである。これは、シーア派とスンニ派を対立させるというイラン政府の宗派主義的政策と、他国の民兵や反政府勢力、テロ組織の支援や資金援助、武装化を通じて達成されことになる。

不安定と混沌を生み出すという目的を達成したのち、ムッラの戦略における2本目の矢が実行に移される。すなわち「和平案」を通じて「問題解決」に加わることを提案し、紛争当事国を安定させるためのイニシアチブを主導するのである。

通常、標的国にはイランの計画に屈する以外の選択肢はない。そうしない限り、イランが同国に大損害を与え続けることになるからである。

そしてこの第2のプロセスを通じ、イランは標的国の安全保障、政治、経済システムに深く浸透し、その意思決定プロセスにおける不可欠な一部となっていく。

イランのこの二面戦略が最初に実施されたのは、1980年代初頭のレバノンである。イスラム革命防衛隊(IRGC)とその精鋭部隊であるクッズ部隊がレバノンに潜入し、シーア派の民兵を組織した。

イラン政府は当初、船舶への嫌がらせや妨害行為、ミサイルや無人機による攻撃などで地域の不安定化を図った

そして、イラン政府がレバノンに数十億ドルをつぎ込み、武装勢力に高性能兵器を提供した結果、ヒズボラが誕生することとなる。その後間もなく、このアラブの国は10年にわたる内戦に巻き込まれた。レバノン政府が大幅に弱体化し、何万人もの命が失われた後、イランの指導者たちはレバノン危機の解決に協力を申し出た。

その結果はどうであったか。イランの強力な代理組織であり部隊でもあるヒズボラは、レバノンで公式に認められた政党となり、内戦終結後には政府の一部として加わることになった。そして1992年、ヒズボラはレバノンの選挙に参加し、議会で議席を獲得した。これは、レバノンの内政・外交政策に対し、代理組織を通じてイランが発言権を持つことになるということを意味した。

イラクでも同じことが起きた。イランは、人民動員隊として知られる民兵の複合組織に資金援助した。これらの民兵は、即決処刑、失踪、拷問、児童兵士の使用、無差別攻撃、戦闘を逃れてくる人々の移動に対する違法な制限など、民間人に対するさまざまな犯罪に関与することでイラク紛争を激化させた。民兵は、宗教を悪用するようになり、権力を得るための手段として、また、イランの偏狭な宗教的、政治的野心をさらに進めるための手段として宗派主義を利用した。

第2段階では、イラン政府はイラク政府に対し、これらの民兵を「合法」集団と認めさせ、国家機関に組み入れさせるよう仕向け、彼らに賃金と弾薬を支給させるよう仕向けた。現在、人民動員隊の費用はイラク政府が負担している。

シリアでは、イラン政府は再びイラクやパキスタン、アフガニスタン、レバノンからシリアに流入した民兵とシーア派勢力の連合部隊を組織した。イラン政府は年間約150億ドルから200億ドル、計1,000億ドルほどをかけ、この国をさらに不安定にした。その後、イランはシリア内戦を解決するための取り組みに加わることを申し出た。数年におよぶ血なまぐさい内戦の後、シリアのシーア派民兵の多くは、シリアにおける社会政治的および社会経済的インフラの基盤となっている。イランのイスラム革命防衛隊とクッズ部隊もシリアでの軍事的プレゼンスを享受しており、イスラム革命防衛隊はシリア全土に恒久的な軍事基地を設置している。

イランの「二面的偽善戦略」の標的となったもう1つの国はイエメンである。ここでのイランの目標は、レバノンのヒズボラのように、フーシ派から政治勢力を作り出すことにある。そしてイランは、高性能兵器と資金を提供することでフーシ派を勢いづかせた。現在、イランは、サウジアラビアとその同盟国に対してさらなる影響力を行使するためにフーシ派との関係を利用している。イラン政府は、この影響力を将来の交渉における戦略的な交渉材料として利用することもできるし、リヤドに方向転換を迫るために利用することもできるのである。

イランの神権政治政権は、アラビア湾でも同じ二面戦略を用いている。イラン政府は当初、船舶への嫌がらせや妨害行為、ミサイルや無人機による攻撃などで地域の不安定化を図った。

そして現在、イランの指導者たちはまたしても解決策に加わることを提案している。イランのハサン・ロウハニ大統領は、「希望の連帯」と名付けられた同国の「和平計画」に加わるよう、国連総会で地域諸国に呼びかけた。ロウハニ大統領は、このような海洋グループを形成することで「安全保障がすべての国のすべての地域における傘であると考えるならば、石油その他のエネルギー資源の自由な流通が保証されるだろう」と述べた。

さて、ここにどんな罠があるのだろうか。イラン政府の海洋安保構想では、米国を含む他の大国は排除されているのだ。つまり、イラン政府は、湾岸における絶対君主になろうとしているのである。

イラン政府こそが問題であり、解決にはつながらない。約40年間にわたり、イランを統治するムッラたちは他国に戦争の種をまいてきた。

  • マジド・ラフィザデ博士は、ハーバード大学で教育を受けたイラン系アメリカ人の政治学者。イラン-米国間外交政策の第一人者であり、ビジネスマンであり、国際アメリカ評議会の会長でもある。Twitter: @Dr_Rafizadeh
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