ダマスカス:戦争で住居を失い、国内北西部にあるキャンプ生活を送るシリア人たちが、燃料費高騰、人道支援の減少、雇用機会の不足に見舞われるなかで、また厳しい冬を迎えようとしている。
イドリブ県南部の町アル・ターの自宅を追われたアブドゥル・サラーム・アル・ユセフさん(53歳)は、アラブニュースに対し次のように語る。「私たちはこの3年間、いろいろなキャンプを転々としてきました。生活に最低限必要なものも足りず、冬が始まるたびに私たちの苦しみは増していきます。
家族の長である私たちは、多額の支出を求められます。なぜならあらゆる暖房用資材が150ドル以上しますし、ヒーターの価格までも高いからです。私たちにはそういったコストを負担することはできません」
さらにユセフさんは、この3年間人々が暮らしてきたテントが劣化し、水が漏れるようになってきていると付け加えた。
同じくアル・ター在住だったハレド・アブデル・ラーマンさんも、同様のことを語る。
「私は5年間に渡って家を追われた状態にあり、毎年冬が来るたびに私たちは不安を感じています」ラーマンさんはそう話す。
「毎年冬の初めには暖房用資材の支援を受けていましたが、年を経るごとに支援は減っています。2年前から、ナイロン素材のゴミやプラスチック製のコンテナなどを燃やすようになりました。こういった素材は健康に悪影響で、特に子どもたちへの影響は大きいのですが、暖房用の資材は私たちにとっては高価すぎて買えないので使っています」
ラーマンさんによると、現在の薪1トンあたりの平均価格は約150ドルだという。
「このひどい環境では、薪1キロを買うこともできません。テントはとてもひどい状態です。毎年冬になると継ぎ接ぎして、強い風が吹くたびに修理しています」
シリア北西部の難民キャンプへの人道支援の量は、2021年以来徐々に減っている。
現地の市場で薪を売っているサミール・アル・アーマッドさんは、アラブニュースに対して次のように話す。「昨年までは薪の価格は今よりずっと安かったのですが、あらゆる暖房用資材の価格がとても高騰しています」
「ディーゼル燃料を使った温室を作りたかったのですが、それは無理なので薪を燃料にする温室を作りました。この市場の仕事で得た収入で、薪なら買えるからです。薪はとても高く、種類や品質にもよりますが、140ドルから210ドル程になっています」
さらにアーマッドさんは、最近では薪を買う余裕ができた人でも少量しか買っていかないと続けた。
シリア対応コーディネーターチームによると、難民のほぼ半数にあたる600万人以上が、シリア北西部で生活を送っているという。そのうちの200万人以上――女性60万人、子ども88万8,000人、特別なケアを必要とする人々8万4,000人――が、同地域のキャンプで生活を送っている。