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イスラエルがガザ南部への攻撃を強化 民間人の犠牲に対する新たな懸念を引き起こす

2023年12月2日、イスラエル南部、ガザ地区の境界近くで撮影された写真。イスラエルと過激派組織ハマスとの戦闘が続く中、イスラエル軍の砲撃でパレスチナ自治区に煙が立ち込めている。(AFP)
2023年12月2日、イスラエル南部、ガザ地区の境界近くで撮影された写真。イスラエルと過激派組織ハマスとの戦闘が続く中、イスラエル軍の砲撃でパレスチナ自治区に煙が立ち込めている。(AFP)
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03 Dec 2023 02:12:57 GMT9
03 Dec 2023 02:12:57 GMT9

ハーン・ユーニス(ガザ地区):イスラエルは2日、ハマスとの1週間の休戦に続く再度の攻勢を激化させ、ガザ地区南部の標的を攻撃した。これらの攻撃は、民間人の犠牲に対する新たな懸念を引き起こしている。

ハマスが支配するガザの保健省によると、1日の朝に戦闘が再開されて以来、少なくとも200人のパレスチナ人が死亡している。これは、米国が同盟国イスラエルに民間人の保護を可能な限り行うよう促している中で起きた出来事である。

戦争が始まって以来3回目の中東訪問をドバイでのアラブ外相との会談で終えたアントニー・ブリンケン国務長官は2日、「これは今後、非常に重要なものになるだろう」と述べた。「私たちは非常に注意深く見守っていくつもりだ」

2日に行われたイスラエルによる攻撃の多くは、ガザ南部のハーン・ユーニス地域に集中している。軍は50以上のハマスの標的を空爆、戦車砲撃、海軍で攻撃したと発表した。

国連によれば、イスラエル軍は前日、住民に退去を警告するビラを投下したが、1日深夜の時点では、多数の人々が退去したという報告はなかった。

1カ月前に北部の町ベイトラヒアから妻と3人の子どもを連れてハーン・ユーニスに避難したエマド・ハジャール氏は、「どこにも行くところがない」と嘆いた。

「彼らは私たちを北部から追放し、今度は南部から追い出そうとしている」

イスラエル軍は北部でも空爆を行い、ガザ地区全域で400以上の標的を攻撃したと発表した。

ガザのほぼ全人口にあたる約200万人が、イスラエルが開戦時に避難先として勧告したガザ地区南部に押し込められている。イスラエルはその後、地上攻撃の範囲を広げると宣言している。ガザ北部や隣国エジプトに行くことができない彼らは、220平方キロメートルの地域内を移動するしかない。

民間人の保護を求める米国の呼びかけを受けて、イスラエル軍はオンライン地図を公開したが、それは助けになるどころか混乱を招いている。

この地図はガザ地区を無造作に描かれた数百の番号付き区画に分割したものだ。イスラエルはガザの住民に対し、道路や区域を無視した線で分けられたこの地図を使い、最終的な避難の際に自分の場所の番号を覚えるよう求めている。

国連人道問題調整事務所(OCHA)はパレスチナに関する日報の中で、「この地図には、住民がどこに避難すべきか明記されていない」と指摘した。「ガザに住んでいる人々が、電気もなく、通信も遮断されている中で、どのようにこの地図にアクセスするのかは不明だ」

エジプトは、再開された攻撃によってパレスチナ人が自国領土に侵入しようとすることを懸念している。1日深夜の声明でエジプト外務省は、パレスチナ人の強制移送は「一線を超えるものだ」と述べた。

ホワイトハウスによると、気候変動会議COP28のために2日にドバイに滞在していたカマラ・ハリス米副大統領は、紛争後のガザ地区の次のステップを計画する際に「パレスチナ人の声を中心に据える」ための提案を、地域の指導者たちとまとめる予定だという。ジョー・バイデン米大統領は、イスラエルとパレスチナが共存する最終的な二国家解決の必要性を強調している。

再燃した敵対行為は、休戦中に105人が解放された後、ハマスやその他の武装勢力によって依然として拘束されているとイスラエル軍が主張する136人の人質の安全に対する懸念も高めている。残された人質の家族にとって、休戦合意の崩壊は、他の人質が解放されるのを何日も見届けた後、愛する家族が次に解放されるかもしれないという希望を打ち砕くものになった。イスラエル軍は1日、さらに4人の人質の死亡を確認したと発表し、これで判明している死者は7人となった。

休戦中、イスラエルは240人のパレスチナ人を刑務所から解放した。双方から解放された者のほとんどは女性と子供だった。

戦争は10月7日のハマスと他の武装勢力による攻撃の後に勃発した。ハマスは、イスラエル南部で民間人を中心に約1200人を殺害し、約240人を捕虜にした。

休戦の終了後、ガザの武装勢力はイスラエルへのロケット弾発射を再開した。また、イスラエル北部の位置するレバノンとの国境エリアで活動するヒズボラ武装勢力との間で戦闘が勃発した。

人道援助の中断

この戦争では、数十万人の人々がガザ北部からハーン・ユーニスや南部の他の地域へと避難した。これは、人口の四分の三が避難し、食料、水、その他の物資の広範な不足に直面するという異例の大量避難である。

国連によれば、敵対行為が再開されて以来、援助物資の輸送船団や燃料の配達はガザに入っておらず、ガザ内での人道支援活動もほぼ停止している。

ガザで活動する援助団体である国際救済委員会(IRC)は、戦闘の再開は休戦によって提供された「わずかな救済を一掃し、パレスチナの民間人にとって壊滅的な結果をもたらすだろう」と警告した。

ハマスが運営するガザの保健省によれば、休戦が開始された時点で、イスラエルの攻撃で1万3300人以上のパレスチナ人が死亡し、そのおよそ3分の2は女性と未成年だったという。同省は死亡者数の報告において、民間人と戦闘員を区別していない。

11月11日以来、保健省は散発的に死者数を更新している状況であり、犠牲者数はもっと多い可能性が高い。同省によれば、がれきの下ではさらに数千人が死亡している恐れがあるという。

イスラエルは、ハマスの工作員を標的にしており、民間人の死傷者は武装勢力によるものだと主張し、彼らが住宅街で活動していると非難している。イスラエルは、ガザ北部の地上攻撃で77人の兵士が死亡したと発表した。また、数千人の武装勢力メンバーを殺害したと主張しているが、証拠は示していない。

AP

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