
ブリュッセル:欧州連合(EU)各国外相は12月11日にもハマスの資金源の取り締まりや、ヨルダン川西岸地区で暴力行為を行っているイスラエル人入植者に対する渡航禁止措置を含め、中東での危機に対応して取るべき次の方策を検討する。
ブリュッセルで開かれる会合では、EU27か国の外相がウクライナ政府への今後の安全保障上の支援をめぐり、ウクライナのドミトロ・クレバ外相から説明を受ける。
EU当局者は、ウクライナを支援してロシアの侵略を退けることが最優先事項だと引き続き主張しているが、イスラエルとパレスチナ武装組織ハマスの間で戦争が勃発したことで、EUは新たに中東情勢にも目を向けざるを得なくなった。
戦争はEU加盟国内で長年続いてきた、イスラエルとパレスチナの対立全般をめぐる大きな分断をあらためて浮き彫りにした。
しかし外相たちは、EU外交部が準備した、数多くの可能な次の方策の概略を示した討議資料を検討して、見解の一致点を探ることになる。
ハマスはEUにより、すでにテロ組織に指定されており、ハマスがEU圏内に持つ資金や資産は凍結されることになっている。
EUは8日、ハマス軍事部門のムハンマド・デイフ司令官とマルワン・イッサ副官を制裁対象となるテロリストのリストに加えた。
ロイターが確認した討議資料では、EUがハマスの財政と偽情報の流布に的を絞ってさらなる対策を取る可能性が示唆されている。
フランスとドイツを含むEU加盟国は、このような案を進めるためにすでに共同での取り組みを行っていると述べた。
ジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表(外相)などのEU高官も、被占領ヨルダン川西岸地区においてイスラエル人入植者によるパレスチナ人に対する暴力が増加していることに危機感を示した。
討議資料は、上記の暴力行為を行った者にEUへの渡航を禁じることや、人権の侵害行為に対しその他の制裁を加えることをEUの対応として提案している。
フランスは先月、EUはこのような措置を検討するべきだと表明した。また、ベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相は先週、「ヨルダン川西岸地区の過激派入植者」に対し入国を禁止すると表明した。
複数の外交官によると、オーストラリア、チェコ、ハンガリーなどはイスラエルの忠実な同盟国であるため、EU全域を対象とした渡航禁止に必要な全会一致を得るのは困難だという。
しかし、イスラエルの最大の支援国であるアメリカが先週、ヨルダン川西岸地区で暴力行為に関与した人々に対しビザ発給停止を決定したことから、この動きに刺激されてEU各国も同様の措置を取ると見る向きもある。
ロイター