



ガザ:ハマスは、11日にガザ全域でイスラエル軍に反撃していると発表し、パレスチナ人や国際救援機関は飢餓が広まる中で社会秩序が崩壊しつつあると述べており、エジプトへの大量脱出への懸念が高まっている。
沿岸の狭い地区であるガザは、2か月以上前の戦闘開始以来、イスラエルにより完全に封鎖されており、エジプトとの国境だけが脱出する唯一の道となっている。
人口が密集した飛び地のガザでは、既に約18,000人が死亡し、戦闘が激しさを増す中で、230万人の住民の多くが家を追われており、住民らは避難先を見つけるのは不可能で、食料を見つけるのはますます困難になっているという。
ガザの住民らは、何度も避難を強いられた人々が、爆撃のほか、飢えと寒さで命を落としていると述べ、支援トラックへの必死の襲撃や物価の高騰について語った。
「人々が飢餓で死ぬかもしれないと予想した人がいただろうか、以前にそれが誰かの頭をよぎっただろうか」と、ソーシャルメディア上で困惑を表明する多くの人々のひとりであるローラ・ガーニム氏は述べた。
支援トラックは、交差点でスピードを緩めるだけで、必死の住人たちによって止められてしまうリスクがあると、国連世界食糧計画(WFP)の副事務局長であるカール・スコウ氏は述べた。
「人口の半数の人々が飢餓に陥っており、9割の人々が毎日食事をとっていない」と、同氏は9日にロイターに語った。
あるパレスチナ人はロイターに対し、3日間食べておらず、子どもたちのためのパンを懇願しなくてはならないと述べた。
「強がっていますが、今にも子どもたちの前で倒れてしまいそうで怖いのです」と、電話で語ったこの男性は、報復を恐れて名前を告げなかった。
12月1日に1週間の停戦が崩壊したあと、イスラエルは先週から南部での地上戦を開始し、以来、東からハーン・ユーニス中心部に向かって進軍しており、戦闘機が西側の地域を攻撃している。
11日に、戦闘員らがイスラエルの戦車が街を通ってさらに西へ向かうのを阻止し、イスラエルが任務はほぼ完了したとしているガザ北部でイスラエル軍と戦っていたと、戦闘員と一部の住民が述べた。
イスラエルは、数十人のハマス戦闘員が投降したと述べ、他の戦闘員にも投降するよう呼びかけた。ハマスの武装部門はテルアビブに向けてロケット弾を発射したと述べており、同地ではイスラエル人らがシェルターに逃げ込んだ。
国連関係者は、ガザの人口の85%にあたる190万人が自宅を追われていると述べ、避難した人々が集まっている南部地域の状況を地獄のようだと表現した。
「まもなく社会秩序が完全に崩壊するだろうし、伝染病やエジプトへの大量移住を強いる圧力の高まりなど、一層悪い状況が展開する可能性もある」と、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は10日に述べた。
イスラエルはガザから人々を追い出そうとしていないという
パレスチナ難民の福祉を担当する国連組織UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は9日に、ガザの住民たちをどんどん国境近くに追いやっていることが、「パレスチナ人をエジプトに移住させる企て」を示していると記した。
エジプトとの国境は厳重に要塞化されているが、2008年にハマスの戦闘員らが壁を破壊し、厳しい封鎖を破った。ガザの住民たちは食料などの物資を購入するため越境したが、すぐに戻ってきており、恒久的に退去した者はいなかった。
エジプトは、やってきた人々が戻れなくなることを危惧し、今回はガザ住民の領土内への侵入を許さないと以前から警告してきた。
1948年のイスラエル建国のあと、パレスチナ人の大部分を受け入れたヨルダンは、10日に「ガザの住民を追い出そうと」しているとイスラエルを非難した。
イスラエル政府のエイロン・レヴィ報道官は、この非難を「無礼であり、間違いだ」と評し、自国は「10月7日の虐殺を行ったモンスターたちから」国を守っているのであり、この者たちを裁こうとしているのだと述べた。
イスラエルの集計によると、ハマスの武装集団は10月7日に1200人を殺害し、240人の人質をとった。停戦中に約100人の人質が解放されたが、この中には親類がいまだ人質となったままの人々もいる。
「彼がもう生きていないという悪い知らせを受けることを考えて、すくみ上がっています」と、2人の幼い娘と共に解放されたシャロン・アロニー・クニオ氏は、いまだ人質となっている夫について、ロイターに語った。
イスラエルは、2007年からガザを統治し、イスラエルを滅ぼすと宣言している過激派イスラム主義組織ハマスの殲滅を誓っている。
ガザ保健省によると、10月7日以降に少なくとも18,205人のパレスチナ人がガザで死亡し、49,645人が負傷した。この数字にはガザ北部の死傷者数は含まれておらず、北部や他の場所で多くの人々が瓦礫に埋まったままになっている。
イスラエルは、移動の指示は人々を守るための手段のひとつだという。同国はガザを支配するハマスの戦闘員らが市民を人間の盾として利用し、人道支援物資を盗んでいると非難しているが、ハマスはこれを否定している。
イスラエル軍は、ハマスがジャバリアにあるUNRWAの施設内に武器を隠していると非難し、ガザ市のシェジャイア地区で人々を殴り、支援物資を手に入れるハマスの武装集団をうつしたとする動画を公開した。
イスラエルは、ハマスの攻撃激化につながる恐れがあるとして、大半の援助物資のガザへの搬入を阻止してきた。
政府の報道官であるエイロン・レヴィ氏は、イスラエルは戦争前に援助物資の大半を処理していたケレム・シャローム検問所を開放しようと取り組んでいると述べ、歩行者用に設計されたエジプトと通じる検問所における停滞に関して、国際機関を責めた。
イスラエルに占領されているヨルダン川西岸地区と隣国ヨルダンでは、パレスチナ人たちによるストライキの呼びかけに応じて、大半の店や会社が営業を停止したが、イスラエルへの影響のほどは不明だ。
ガザ保健省はハーン・ユーニスにおいて一晩で32人のパレスチナ人が死亡したと発表した。ハマスの武装部門は、イスラエルの戦車2台にロケット弾を命中させ、イスラエル軍に向かって迫撃砲を発射したと述べた。
戦闘員と住民によると、ガザ市中心部の東のシェジャイア、北西部のシェイク・ラドワン地区、さらに北のジャバリアでも激しい戦闘があったという。
イスラエルが11日に「デイル・アルバラ地区にある既知の避難所」に向かって移動するよう人々に伝えたガザ中部では、シュハダ・アルアクサ病院に40人の死者が運び込まれたと、保健当局者が述べた。
また、医療従事者らは、イスラエルの空爆によりラファのある住宅で4人が死亡したと述べた。ラファは、イスラエルがパレスチナ人の避難場所として指定したエジプト付近の2か所のうちのひとつだ。
ロイター