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レビュー:豪華キャストが再集結『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』は、オタク心溢れる傑作

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23 Nov 2023 11:11:12 GMT9
23 Nov 2023 11:11:12 GMT9
  • 『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』のスターたちが、人気グラフィックノベルのアニメ化で集結

マット・ロス

ロンドン:賛否両論だった2010年の『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(興行収入は今ひとつだったが、カルト的人気を誇る作品となった)の評価を考えれば、Netflix(ネットフリックス)が映画の原作であるブライアン・リー・オマリーの人気グラフィックノベルを引っ張り出してきてアニメシリーズ化すると発表したことはある意味驚きだった。さらに驚きだったのは、実写映画のキャストの大半がこの新シリーズで再登板するという発表だった。これはリメイク?それとも続編?あるいは全く別の何か? 

あまりネタバレにならないように語るなら、この作品はその3つのうちの中間に属すると言えるだろう。『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』は、ミュージシャンとは名ばかりの怠け者の男が主人公だ。そんな彼は理想の女の子に出会うが、彼女と付き合うには彼女の元カレたちを1対1の決闘で全員倒さなければならないことを知る。オマリーの原作――そしてスタイリッシュに実写化された前作――と同じく、『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』はポップカルチャーのリファレンス、斜に構えた再帰性の発作、大げさなアクションシーンに溢れている。

『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』はポップカルチャーのリファレンスに溢れている。(提供)

本作は実写化された前作よりもさらに自意識過剰とも言えるが、オマリーと共同クリエイターのベンデヴィッド・グラヴィンスキーは大仰さをうまく管理できている。そしてそこに貢献しているのが、クリエイターたちと同じくらい『スコット・ピルグリム』のキャラクターたちを愛していることが明確に伝わってくる、実写化から再登板したキャスト陣だ。マイケル・セラ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、キーラン・カルキン、クリス・エヴァンス、ブランドン・ラウス、ブリー・ラーソン、オーブリー・プラザ、ジェイソン・シュワルツマンらは最高に楽しく、オマリーによって新たな掘り下げが可能になったキャラクターたちにさらなる深みとニュアンスを与えている。

本作は、原作の再解釈が単なるリブランド以上のものになっている珍しい一例だ。『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』の最初の20分ほどは、おなじみの予想できる展開に感じられる。だがそこから(サプライズのネタバレをしないことがとても重要だ)本作は予想外の展開を見せ、非常に優れた脚本、豪華なアニメーション、予想のつかないストーリーテリングが合わさった世界が幕を開ける。スマートながら馬鹿らしく、単純ながら複雑、アホらしくも心暖まる、類まれなる素晴らしい作品だ。

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