
カイロ:イスラエル軍に急襲されたガザ北部の病院が機能停止に陥ったことで、乳幼児を含む患者らが避難し、崩壊が進んでいる同地区の医療サービスはさらなる危険に瀕していると、世界保健機関(WHO)の当局者が18日に語った。
ガザ地区の当局者によると、イスラエル軍は先週、ブルドーザーを使用してカマル・アドワン病院の周辺を瓦礫にし、住民に避難を余儀なくさせたという。イスラエル側は、この病院がハマスの戦闘員によって利用されていたと主張している。
ロイター通信は、これらの説明を個別に確認することはできなかった。WHOは、同病院について緊急で情報収集を行っていると発表していた。
「現在把握しているのは、病院はもう機能していないということです」と、WHOのガザ地区代表を務めるリチャード・ピーパーコーン氏はロイター通信に語った。
新生児2人は帰宅措置を取り、「世話の仕方を説明して、家族の元へ」帰されることとなったが、乳幼児を含む他の患者らはアル・アハリ病院とアル・シファ病院に避難したという。「多くの医療従事者が拘束されたと伝えられています」と同氏は話す。
そして、「どの病院も失う余裕などありません」と続けた。
ガザ地区の病院は多くが戦闘で機能停止に追い込まれており、同地区北部の医療サービスに最も大きな被害が及んでいる。
ガザ地区は230万人の住民を抱えているが、10月7日にハマスが襲撃事件を起こし、イスラエルが報復攻撃を開始したことにより、大多数は家を追われる状況となっている。
多くの住民がガザ地区南部に強制退去させられている一方で、数十万人に上る人々が現在も北部にとどまっているという報告もあり、北部には「機能している医療施設をたくさん用意する必要がある」とピーパーコーン氏は述べた。
同氏はさらに、イスラエル軍が南部の都市ハーン・ユーニスで軍事作戦を展開しているため、同市にあるナセル複合医療施設の敷地内に避難している約4,000人が危機にさらされている状態だと説明した。
「避難民は私たちの職員に、本当に恐ろしいですと話した」という。
ロイター