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病みつつある世界経済にとって、連邦準備制度の集中砲火は果たして効果があるだろうか?

06 Mar 2020
ワシントンDCの米国連邦準備銀行のビル(シャッターストック)
ワシントンDCの米国連邦準備銀行のビル(シャッターストック)
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米国連邦準備制度(Fed)という世界で最も有力な中央銀行が、コロナウィルスに対抗する奥の手を出してきた。しかし、コロナウィルスの世界的感染拡大がもたらす深刻な経済打撃を食い止めるだけの効果があるかどうかは保証の限りではない。

Fedは、戦闘半ばにしてアッという間に弾薬切れとなるのではないか、という懸念すらある。

Fedが行った0.5%の主要金利引き下げは、米国当局がこのコロナウィルスの感染拡大をいかに真剣に受けとめているかを裏付けるものであり、2008年後半における世界金融危機以来初めての大幅利下げとなる。これは政府の予定にはなかった動きであり、したがって非常事態対策だといえる。

この動きは一時的に株価をてこ入れしたが、間もなく投資家たちは、その利下げすら世界最大の株式市場における危機意識を変えるほどの効果がないことを悟った。最初の急下落が上向いた後になって、ウォールストリートの主な指標は悲観的様相に逆戻りした。S&P 500株価指標は現在過去4ヶ月分の儲けがパーになっている。

今これを書いている時点では、アジア市場はそうした悲観的反応に追随して主な指数がわずかに下落している。中東市場も割安で開始し、リヤド、ドバイ、アブダビの三大取引所では前半全て割安傾向だった。

Fedの利下げ後、債権も同様に下落し、主な10年ものの米短期国債の利回りも1%未満という記録的な低金利となった。

主な問題はもちろんコロナウィルスだ。感染者数が日々増加し、新たな感染者発生場所が報道されている。サウジアラビアでも初の感染者が先週確認され、金融界の政策担当者たちは予測の立たない数値をめぐって悪戦苦闘している。

Fed の次なる動きは何なのか?Fed は世界金融危機にはその問いに答えることができた。当時は金利が今よりずっと高かったからだ。それに、資本コストの削減によって、てこ入れを行う余地ももっとあった。現在の金利はたった1%だ。

Frank Kane

経済協力開発機構(OECD)の政府間機関は今週初めどこよりも先立ってコロナウィルスの世界的大流行による経済的インパクトについて詳細を報告する試みを行ったが、彼らの報告書は不安を増大させるだけに終わった。OECDによると、この世界的感染拡大が早急に収束しなければ、今年度の世界の経済成長は通常の半分にとどまると言う。

国際通貨基金(IMF)と世界銀行によると、彼らは各国のコロナウィルス拡散への対応措置を助けるために緊急事態準備資金を確保してあるという。ただしここでも、この国際金融上の奥の手にはそうした誓約が本当に意味のある方法で役立てられるための準備金など無いという懸念があった。

コロナウィルスによる世界的な経済打撃についての一般的な懸念の他にも、米国金融市場に関する懸念材料が数々ある。

Fedの金利引き下げ発表後に最も大きな影響を受けたのが、銀行とテック企業の二部門だった。銀行業界は2008年に政策担当者たちに対して現実的な不安を投げかけたものの、それ以来全般的な負債を低減するための対策は何も取られていない。

テクノロジー業界は少なくとも過去5年間、株式市場の推進役となってきた。しかし、世界の供給ラインや貿易がこのコロナウィルス大流行による影響を受けてテクノロジー業界が逃れようのない大打撃受けるようになるのを待つまでもなく、彼らは価値を過大評価されていると考えるアナリストたちもいる。

中東にとっては、言うまでもなく原油価格が懸念の対象であり、ウィーンで開かれている石油輸出国機構(OPEC)の会議で現在審議が行われている。産業成長の低迷と産業用燃料への需要の落ち込みはすでにペルシャ湾岸諸国の政策担当者たちの大問題となっているが、目標地点は大幅に変更されている。

OPEC とOPECプラスは、国内総生産の成長率50%減を相殺するためにどのくらいの生産をカットする必要があるのか?生産の大幅カットの影響は、中東産油国の国内経済と経済の多角化計画に対して、どんな影響を及ぼすのか?こうした質問はOPECの政策担当者たちにとって回答に窮するものだ。

同様に答えを出すのが難しい問題は、Fed の次なる動きだ。Fed は世界金融恐慌中にはその問いに答えることができた。当時は金利が今よりずっと高かったからだ。それに、資本コストの削減によって、てこ入れを行う余地ももっとあった。

現在の金利はたった1%だ。金利をこれ以上削減する余裕はもう無く、さもなければ不本意な結果に直面することになる。このような状態は世界一の経済大国の金融市場にとって前代未聞の事態だ。

今こそ間違いなく米国と中国の政策担当者たちによる協調した動きが求められる時だ。とは言え中国は、コロナウィルスの最も深刻な被害者であり、また低迷しつつある経済予測の主な元凶でもある。両国の貿易戦争時代にある今、その望みは当分叶いそうに無い。

  • フランク・ケインは受賞歴を持ちドバイを本拠地とするビジネスジャーナリスト。
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