
ドバイ:国連のイエメン担当特使が12月23日、イエメンの交戦中の各派が新たな停戦を受け入れ、内戦状態の終結に向けて国連主導の和平プロセス交渉に参加することに合意したと発表した。
国連のイエメン担当特使、ハンス・グルンドベルグ氏の発表は、何十万人が殺害され、世界最悪の人道危機の引金となった9年にわたる危機的な戦争を終わらせる歩みとして、最新のものとなる。
発表は、グルンドベルグ氏が最近サウジアラビアとオマーンで行った、イエメン大統領指導評議会議長ラシャド・アル・アリミ氏と、イランに支援されている反体制組織フーシ派の交渉責任者、ムハンマド・アブドル・サラム氏との会談後に行われた。
グルンドベルグ氏は、自身の事務所を通じて発表した声明で、「各派が国全体における停戦を実現するための方策に合意し、包括的な政治プロセスを再開させる準備に参画することを歓迎する」と述べている。
特使は声明上で「現在、各派と行程表の成立に向けて国連の支援のもと交渉に取りかかるところだが、行程表には以下の合意事項が含まれ、その履行を支援するものだ」とも付け加えている。
国連仲介による停戦は2022年4月に発効し、敵対行動は急激に減少した。停戦期間は昨年10月に満了したが大規模な戦闘は依然、収まったままだ。
グルンドベルグ氏は「国連の支援のもと現在、各勢力と行程表の成立に向け交渉に取りかかる」というが、行程表に含まれるのは以下の合意事項だ。
声明によれば合意事項となっているのは、公務員への給与支払い、反政府勢力により封鎖されているタイズ市とイエメンの他の地域への開かれた通路、石油の輸出再開だ。
グルンドベルグ氏は「イエメンの人々は、この新たな機会を注視し、目に見える結果と恒久的な平和に向けた前進をもたらされることを待ち望んでいる」と述べた。
「各派は重要な一歩を踏み出した。彼らのした約束は、何よりもまずイエメンの人々への義務となる」
合意は、イスラエルとハマスの戦闘員が交戦中のガザ地区のパレスチナ人への連帯から、フーシ派が紅海の海上輸送航路の要所へ急襲を行っている最中に行われた。
フーシ派は、10月7日に始まったイスラエルとハマスの戦争が終わらない限り、イスラエルに関係したり、イスラエルの港に向かう船舶を攻撃すると公言している。
アメリカ国防省によれば、35カ国以上が関係する10隻の商船を標的として、フーシ派が行ったドローンやミサイルによる攻撃は100回以上になるという。
フーシ派の攻撃は全世界の貿易量の12パーセントを担う航路を危険にさらし、アメリカが紅海の海上輸送を護衛する多国籍間の海上軍事作戦を発動することにつながった。
フーシ派による「軍事行動は平和的解決の進展の上で妨げになる」と、アメリカを拠点とするナヴァンティ・グループの上級中東アナリスト、モハンメド・アルバシャ氏はAFP通信に語った。
「フーシ派は変質して、民間の資産の略奪者になりつつある」と氏は指摘している。
内戦の8年間に、反政府勢力各派は国内を制圧し、強力な武器庫を指揮してサウジアラビアや同盟国であるアラブ首長国連邦を攻撃してきた。
多くのアナリストは、今回のリヤドでの軍事行動の縮小合意が、宗教、地域、政治的に深く分断されてしまったイエメンに平和をもたらすのか悲観的だ。
AFP通信