
ロンドン:イラン外務省は29日、同国がウランの濃縮度を引き上げたことに対する仏・独・英・米の批判に異を唱え、これは核の平和的な利用計画の一環であると述べた。
「イランの濃縮施設で行っている濃度60%への処理は、今までもそして今後も、国が必要とする平和的利用のためのものであり、国際原子力機関(IAEA)の完全な監視下にある」と同外務省のナセル・カナニ報道官は国営メディアに語った。
イランは数か月にわたって高濃縮ウランの減産措置を取っていたが、生産を加速させていると監視団が発表したことを受け、欧米列強は28日に同国を非難した。
英・仏・独・米は共同声明で、「イランが核開発計画をより悪い方向へと推進し続けるこの措置を非難する」と述べ、「イランによる高濃縮ウランの生産は、平和的な利用として信頼できる正当な理由がない」と付け加えた。
この声明は、イランが「高濃縮ウランを増産し、2023年半ばから取っていたこれまでの減産措置を撤回した」とする報告書をIAEAが発表した2日後に出された。
国連の監視団によると、イランは11月末以降、濃縮度60%のウランを1か月あたり約9kg(20ポンド)へと増産している。
これは、6月以降の月間生産量の約3kgから増加したもので、2023年上半期の月間生産量の9kgへと戻ったことになる。
欧米列強は28日の声明で、「これらの動きはイランが悪い方向へと一歩踏み出したことを意味する」と述べ、「重大な拡散リスク」を警告した。
しかし、同盟を組むこれらの欧米諸国は、イランがウランを増産することによって招きうる結果については一切言及せず、増産の撤回を求め、イラン政府の核開発計画をめぐる抗争の「外交的解決に全力を尽くしていく」と述べた。
声明には「イランによる高濃縮ウランの生産は、平和的な利用として信頼できる正当な理由がない」とある。
「この決断は、(中略)地域情勢が緊迫する中、無謀な行動である」
IAEAの理論的な定義によると、90%まで濃縮すれば核爆弾を3発製造できる純度60%のウランをイランは既に十分な量保有している。
イランは核兵器の開発計画を否定している。
英・仏・独は、イランの核兵器開発を阻止するために策定された2015年の合意に引き続き参加しているが、2018年に米国のドナルド・トランプ前大統領がこの合意を破棄したことで、イランは合意が定める制限事項に徐々に違反するようになった。
ロイター、AFP