• 3カ月前のイスラエルとハマスの開戦以来4度目となるブリンケン国務長官の危機訪問は、紛争が中東全域を巻き込むのではないかという懸念が高まるなかで行われる
• トルコは10月7日のイスラエル襲撃を受けて、ハマスの指導者たちにイスタンブールからの退去を求めたが、それ以降はイスラエルによるガザへの報復攻撃を非難している

イスタンブール：アメリカ政府の外交責任者は6日、トルコの気まぐれな指導者とガザ戦争について話し合った後、トルコ政府へのアメリカ製戦闘機の売却が迫っていることへのギリシャの懸念に対処するためクレタ島に飛ぶ予定である。

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は5日遅く、イスラエルとヨルダン川西岸地区、そしてアラブ5カ国を歴訪する旅の最初の訪問地であるイスタンブールに到着した。

3カ月前のイスラエルとハマスの開戦以来4度目となるブリンケン国務長官の危機訪問は、紛争が中東全域を巻き込むのではないかという懸念が高まるなかで行われる。

ハマスの戦闘員がイスラエルを急襲して約1,140人を殺害し、ガザ保健省によれば女性と子供を中心に22,600人の命が奪われた報復攻撃の引き金を引くまで、イスタンブールは、ハマスの政治指導者たちの拠点として機能していた。

トルコは、イスラエル史上最悪の襲撃を祝う動画に一部のハマス幹部らが写っていたことを受け、ハマス幹部らに国外退去を求めた。

そして、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領はそれ以降、ガザで起きている死と破壊の規模、そしてアメリカ政府のイスラエル支援に対して、イスラム世界で最も厳しい批判者の一人となった。

エルドアン大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相をアドルフ・ヒトラーになぞらえ、アメリカがパレスチナ人の「大量虐殺」を支援していると非難している。

しかし同大統領はまた、トルコからハマスへの資金流入の疑いを断ち切るよう求めるアメリカの圧力をはねつけ、ハマスが合法的に選出された「解放者」であり、自分たちの土地のために戦っていると擁護した。

アメリカ国務省は5日、イランが支援する組織への資金提供に協力しているとされるハマスの外国工作員5人（うち3人はトルコを拠点にしていると思われる）に関する情報提供に対し、1000万ドルの報奨金を出すと発表した。

トルコは今週、パレスチナ人に対する攻撃を計画し、イスラエルの情報機関モサドのためにスパイ活動をしていた疑いのある34人を拘束することで対抗した。

アメリカのジョー・バイデン大統領が先月、戦争勃発後初めてトルコの指導者に電話をした後、エルドアン大統領は厳しい発言をトーンダウンし始めた。

この電話会談は、ロシアのウクライナ戦争を受け、NATO加盟国であるトルコがスウェーデンをアメリカ主導の防衛組織に受け入れるための遅々として進まない進展を後押しするものとなった。

議会の委員会は12月下旬にスウェーデンの申請を承認した。

ブリンケン国務長官は、トルコのハカン・フィダン外相とエルドアン大統領との会談で、全議会による投票が間もなく行われることを確実にしたいと考えている。

新規加盟国が防衛ブロックに加わるには、NATO全加盟国の承認が必要となる。

NATOは昨年、トルコの譲歩によりスウェーデンの隣国フィンランドを同盟に受け入れたことで、ロシアと接する国境の長さをすでに2倍にしている。

エルドアン大統領はトルコの拒否権を利用して、スウェーデンに、トルコ政府が 「テロリスト 」とみなすストックホルムのクルド人グループに対してより厳しい姿勢をとるよう迫っている。

同大統領はまた、トルコの老朽化した空軍のために、アメリカが40機のF16戦闘機と約80の近代化キットを提供することを、スウェーデンの承認の条件にしようとしている。

バイデン政権は公式にこの売却を支持しているが、議会において、トルコのスウェーデンに対する立場や人権に関する実績、そして歴史的ライバルであるギリシャとの過去の軍事的対立を警戒する議員たちの抵抗を克服できていない。

国務省のマシュー・ミラー報道官は今週、「我々はこの売却をスウェーデンのNATO加盟と結びつけるべきでないと考えていることを表明したが、異なる意見を持つ議員もおり、彼らはこの2つを結びつけている」と発表した。

ブリンケン国務長官は6日の夕方、ギリシャのクレタ島を訪れ、キリアコス・ミツォタキス首相と会談する。

ギリシャは、エネルギーが豊富な東地中海地域におけるトルコとの長年の領土問題を理由に、アメリカのジェット機売却に激しく抵抗している。

AFP