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国連「パレスチナ人の命が危機に」UNRWA職員の疑惑に迅速に対処する中で

ステファン・ドゥジャリク事務総長報道官はアラブニュースに対し、国連は「支援者の懸念を和らげるためなら、できることは何でもする。無論そうした懸念は我々も抱いている」と語った。(ロイター)
ステファン・ドゥジャリク事務総長報道官はアラブニュースに対し、国連は「支援者の懸念を和らげるためなら、できることは何でもする。無論そうした懸念は我々も抱いている」と語った。(ロイター)
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30 Jan 2024 09:01:32 GMT9
30 Jan 2024 09:01:32 GMT9
  • 職員が10月7日のイスラエルへの攻撃に参加したという疑惑にアントニオ・グテーレス事務総長は「恐怖を感じる」一方で、支援者にはUNRWAの事業が継続できるよう要請
  • ステファン・ドゥジャリク事務総長報道官は、アラブニュースの取材に「国連はUNRWAへの攻撃と資金不足に懸念を抱いている」と語る

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク市:国連は、ここ数日報道されている疑惑に対し「迅速な行動」をとっていると述べた。この疑惑は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員十数名が10月7日のイスラエルへの攻撃に関与したというものだ。

アントニオ・グテーレス事務総長の報道官を務めるステファン・ドゥジャリク氏は、国連内部監査室(OIOS)による調査が直ちに開始されたと述べた。

「テロ行為に関与したすべての職員は、刑事訴追によるものを含め説明責任を負うことになる」とドゥジャリク氏は月曜日(1月29日)に語った。「(国連)事務局は、個々人を起訴する権限を持つ機関と協力する準備が整っており、そうした協力は事務局の通常の手続きに従って行う」

ドゥジャリク氏はアラブニュースに対し、国連は「支援者の懸念を和らげるためなら、できることは何でもする。無論そうした懸念は我々も抱いている」と語った。

イギリス、フィンランド、EUを含む主要な支援国が、アメリカに追随してUNRWAへの資金拠出を停止すると週末(1月28日)に発表した。

ガザ市民に人道支援を確実に提供するための「即時かつ効果的な」措置をハーグの国際司法裁判所が求める中で、こうした措置がとられたのだ。

日曜日(1月28日)にグテーレス事務総長と電話会談したEUのジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表は、ガザの切迫した人道状況について「強い懸念」を表明した。ボレル上級代表が明言したところによれば、UNRWA最大の支援者のひとつであるEUは少なくとも2月末までは同機関へのさらなる資金拠出を予定していないが、ガザのパレスチナ人に対する不可欠の支援は「パートナー組織を通じて今後も変わらず」継続していくという。

欧州委員会は、国連によるUNRWAへの調査が終了した時点で資金拠出停止の決定を見直すと述べた。EUが任命する独立した専門機関がUNRWAを監査し、とりわけ「職員のテロ行為への関与を防止する」体制を整えていく。欧州委員会は、そうした取り組みにUNRWAが同意することを期待しているとも述べた。

また欧州委員会は「UNRWAの全職員が(10月7日の)テロに関与していないことを確認する」調査の実施も要求した。

ドゥジャリク氏は、UNRWA職員に対する告発に対してグテーレス氏が個人として恐怖を覚えていると語った。一方で、支援国、とりわけ資金拠出を停止した支援国への事務総長のメッセージは以下のようなものだという。「少なくともUNRWAの事業が継続できるようにしていただきたい。この地域全体に数万人の献身的な職員を抱えているのだから」

ドゥジャリク氏によれば、危機に瀕しているのはUNRWAの存在というよりも、「UNRWAが奉仕している人々の生活」なのだという。

UNRWAの今後の見通し、そして「UNRWAがガザに限らず、東エルサレム、ヨルダン川西岸地区、ヨルダン、レバノン、シリアで奉仕する数百万人の人々の今後の見通しは非常に暗い」彼はこうも述べた。

マーティン・グリフィス人道問題担当国連事務次長は、ガザの人々は「想像を絶する恐怖と困窮に何カ月も耐えている」と語った。さらにグリフィス氏によれば、ガザの人々はかつてないほど支援を必要としており、彼らを支える国連の人道支援のキャパシティは未曾有の大きな脅威にさらされているという。

「ガザの人々に一時でも希望を与えるために全力を尽くす必要がある。今はガザの人々を失望させている場合ではないのだ」とグリフィス氏は語った。

UNRWA職員がイスラエルへの攻撃に関与した疑惑について情報を得たフィリップ・ラザリーニUNRWA事務局長は、直ちに当該職員との契約を解除し、疑惑の調査を開始したと述べた。

ラザリーニ氏は「テロ行為に関与したすべての職員は、刑事訴追によるものを含め説明責任を負うことになる」と、ドゥジャリク氏が明言した内容を繰り返した。

「ガザの200万人以上の人々が、開戦以来UNRWAが提供してきた人道支援に依存している状況で、このようなショッキングな疑惑が出てしまった。国連の基本的な価値観を裏切る者は、ガザやこの地域全体、世界中のその他の場所でUNRWAが奉仕している人々も裏切ることになる」

疑惑のある職員と関係を断つ際になぜ適正な手続きがとられなかったのか問われたドゥジャリク氏は「前例に鑑みれば、職員を直ちに解雇すべきと信じるに足る情報を得た場合、機関の長と事務総長はその職員を直ちに解雇する権限を有する」と述べた。

一部の支援者がUNRWAへの資金拠出を停止するという「向こう見ずな」決定を下したことに対して、複数の支援団体が驚きの声を上げ、ガザで飢餓や疾病の流行が起こるリスクが高まっていることについてあらためて警鐘を鳴らした。

UNRWAへ支援を行うことを再確認し、資金拠出停止を撤回し、提供する人道援助のレベルを引き上げて、ガザやより広い地域における喫緊の課題に取り組んでほしい。複数のNGOは支援国に対してそう訴えた。

ドゥジャリク氏はUNRWAへの支援メッセージを歓迎し、「UNRWAは人々の命を助け、紛争が始まって以来物資の支援を行い、いやもっと広く言えば、ガザだけでなくヨルダン川西岸地区、レバノン、シリア、ヨルダンであらゆる事業を行ってきた。NGOに携わる人たちは、UNRWAが今行っているそうした事業の重要性を理解してくれていると思う」と語った。

UNRWA職員12人に対する疑惑が持ち上がった時機について、そしてガザでジェノサイドが行われている可能性があると国際司法裁判所が判決を下したことと今回の疑惑との間に関連があると事務総長は見ているのかどうか、アラブニュースは質問した。これに対しドゥジャリク氏はこう回答した。「我々が生きる時空についてコントロールできることは何もないしコメントできることもない」

グテーレス事務総長は、UNRWAを解体しようとする意図的な試みが行われている可能性について懸念を持っているのだろうか。戦争が始まって以来イスラエル政府はUNRWAを執拗に攻撃しており、ある大臣がUNRWAを解体しなければ戦争に勝つことはできないと発言したこともある。この疑問に対しドゥジャリク氏は「もちろんだ。もちろん我々はUNRWAへの攻撃や資金拠出の不足について懸念している」と答えた。

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