
国連:ハマス武装勢力による10月7日の襲撃に国連パレスチナ難民支援機関の一部職員が関与していたとのイスラエル側の告発を受けて停止している資金拠出について、米国は、再開の前に国連パレスチナ難民支援機関が「根本的な変化」を遂げる必要がある、と30日に述べた。
米国のリンダ・トーマスグリーンフィールド国連大使は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員に対する告発についての国連の調査と、予定されているUNRWAによる見直しを歓迎した。また、米国はイスラエルに疑惑の詳細情報を求めていると述べた。
トーマスグリーンフィールド氏は、米国が求める「根本的な変化」について、「UNRWAが行っている極めて重要な活動を継続できるよう、組織、ガザでの活動、職員の管理について調査し、今回の12人のような犯罪を行った者の責任を直ちに問えるようにする必要がある」と説明する。
今回の告発は、イスラエルがUNRWAに情報を提供した後、UNRWAが数人の職員を解雇したと発表したことで、26日に公になった。アントニオ・グテーレス国連事務総長は28日、関与した12人のうち9人が解雇され、1人が死亡、残る2人の身元は明らかになりつつあると述べた。
UNRWAの最大の資金拠出国である米国は、その他の国々とともに一時的に資金拠出を停止した。米国務省のマシュー・ミラー報道官は30日、米国は年間3億ドルから4億ドルを提供していると述べている。
ミラー氏によれば、10月に始まった今会計年度に、米国はこれまで約1億2100万ドルをUNRWAに提供している。
グテーレス氏は30日、ニューヨークでUNRWAの資金拠出国関係者と2時間以上会談し、イスラエルの主張に対して国連がとっている行動について話し合い、懸念を聞いた。一部の大使は、この会合は建設的だったと述べた。
会合後、パレスチナのリヤド・マンスール国連特使が記者団に語ったところによると、グテーレス氏は、UNRWAへの資金拠出を停止している国々に対し再考を促し、「当該地域の国々を含め、その他の国々も資金拠出に前向きになるよう」訴えたという。
中国の張軍国連大使は、UNRWA各職員に対する告発について、グテーレス氏が資金拠出国と情報を共有したと述べた。
「我々は、ガザの人道危機に対処する上で非常に重要な局面にあり、紛争はいまだ続いています。停戦を目指す我々の意志を、これら個別の事件によってゆるがせてはなりません」と張氏は記者団に語った。
「代わるものはない」
ロイター通信が29日に確認したイスラエルの機密文書には、ガザ紛争の発端となった10月7日の急襲の際、一部のUNRWA職員が拉致や殺害に関与したという告発や、約190人のUNRWA職員がハマスやイスラム過激派に属していたという主張が含まれている。
パレスチナ側は、イスラエルがUNRWAに汚名を着せるために誤った情報を流していると非難している。
国連のステファン・デュジャリック報道官は30日、イスラエルはまだ国連と機密文書を共有していないと述べた。
UNRWAはガザで13,000人を雇用し、この飛び地で学校、一次医療施設、その他の社会サービスを運営し、人道援助物資を配布している。
「毎年、UNRWAは職員のリストを、UNRWAが活動する受け入れ国と共有しています」とデュジャリック氏は述べる。「ガザ地区とヨルダン川西岸地区での活動については、UNRWAは両地区を統治するパレスチナ自治政府およびイスラエル政府の双方と職員リストを共有しています」
30日、国連安全保障理事会は「悲惨で急速に悪化している人道的状況」に懸念を表明し、全ての当事者に対し、ガザ地区人道復興上級調整官のシグリッド・カーフ氏と協力するよう促した。
15人のメンバーで構成される理事会の声明は、カーフ氏が約1か月前に任命されて以来、初めて非公開のブリーフィングを行った後に発表された。カーフ氏はそこで、UNRWAの人道的役割に「代わるものはない」と述べたという。
「UNRWAの途方もない能力、組織、ガザの住民に関する知識は、どんな組織も取って代わることはできないものです」ブリーフィングの後、カーフ氏は記者団にこう語った。
ロイター