
ガザ:イスラエル軍によるガザ地区最南部の都市ラファへの侵攻の脅威が続く中、イスラエルのネタニヤフ首相は11日、そこに避難している市民に対して「安全な通行」を約束した。
11日に放映されたインタビューの中で、ネタニヤフ首相はイスラエルの軍事作戦をこの都市まで拡大する意向を繰り返し表明した。
ガザ地区の人口240万人の半数以上が押し寄せるこの都市で殺戮が行われる可能性が国際的に警戒されているにもかかわらず、ネタニヤフ首相はABCニュースにこう語った。「我々は実行するつもりだ」
彼は、作戦はまず民間人への影響を計画する必要があることに関して、「アメリカ人と同意見」だと認めた。
公開されたインタビューの抜粋によれば、彼は、「私たちは、民間人が立ち去ることができるよう安全な経路を確保しながら、作戦を行うつもりだ」と語った。
しかし、エジプトとの国境に追い詰められ、仮設テントで避難しているこれほど多くの人々がどこに行けるのかは不明だ。
これに対しネタニヤフ首相は、「綿密な計画を練っている」とだけ答えた。
イスラエル軍が南下を続ける中、ラファは、ほぼ毎日空爆を受けているにもかかわらず、軍がまだ進入していないガザ地区最後の主要都市となっている。
「彼らは、ラファは安全だと言ったが、そうではない。すべての場所が標的にされている」とパレスチナ人のモハメド・セイダム氏は10日、イスラエルの空爆でラファの警察車両が破壊された後に語った。
ハマスに対する「勝利」は、ラファに潜伏する同組織の大隊を排除することなしには達成できないと主張するイスラエル首相は9日、作戦の準備を軍に指示した。彼の発表は、世界の指導者や援助団体の懸念を引き起こした。
「ガザの人々は空中に消え去るような術を持たない」ドイツのアナレーナ・ベアボック外相は、ソーシャルメディアXに投稿し、イスラエルによるラファへの攻撃は「人道的大惨事を招く」と付け加えた。
サウジアラビア外務省は10日、「ラファへの侵入と攻撃は非常に深刻な影響を及ぼす」と警告し、国連安全保障理事会の緊急開催を要請した。一方、英国のデイビッド・キャメロン外相は予定されている攻勢について「深く懸念している」と述べた。
「優先事項は、援助を取り入れ、人質を解放するための戦闘の即時停止であるべきだ」と彼はとXに投稿した。
激しい戦闘
ガザでの戦争は10月7日、パレスチナのイスラム主義グループ、ハマスによる前例のない規模のイスラエルへの攻撃によって引き起こされた。公式数値に基づくAFPの集計によると、民間人を中心に約1160人が殺害された。
ハマス壊滅を誓ったイスラエルは、ガザで大規模な軍事攻撃を開始した。ガザの保健省によれば、女性と子供を中心に少なくとも2万8064人が死亡したという。
また、ハマスは250人の人質を拘束し、そのうち132人はまだガザにいるが、29人は死亡したと推定されるとイスラエルは発表している。
ネタニヤフ首相は、アントニー・ブリンケン米国務長官が停戦と人質交換を求めてイスラエルを訪問したわずか数日後、ラファでの地上作戦の計画を発表した。
ネタニヤフ首相は、ハマスからの停戦の提案を「奇妙な要求」と呼び、これを拒否した。
しかし、イスラエルのラファ侵攻計画は、主要な同盟国であり軍事支援者である米国から鋭い非難を受けた。米国務省は、作戦が適切に計画されない場合、「大惨事」を招く危険性があると警告した。
異例の厳しい批判の中で、ジョー・バイデン米大統領は8日、イスラエルの報復キャンペーンを「行き過ぎている」と述べた。
ガザを支配するハマスは10日、イスラエルがラファに本格的に侵攻すれば「数万人」の死傷者が出る可能性があると警告した。
パレスチナのマフムード・アッバース大統領の事務所は、この動きは「地域と世界の安全と平和を脅かす」ものであり、「すべての、越えてはならない一線に対するあからさまな侵害」であると述べた。
イスラエル軍は、9日のラファ攻撃で2人の「ハマス幹部」を殺害したと発表した。
ハマスが運営する保健省によれば、これは市内で少なくとも25人が死亡した大規模な空爆の一部だったという。
ハマスのトンネル
ガザ市の北側では、イスラエル軍が、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の避難本部の下にあるハマスのトンネルを発見したと主張した。
イスラエル外相イスラエル・カッツ氏は、UNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長に辞任を要求した。
ラザリーニ氏によると、10月12日にイスラエル軍の指示で職員が避難して以来、同機関はこの施設では活動していなかったという。
イスラエルが10月7日のハマス攻撃にUNRWA職員12人が関与したと主張したことで、すでに圧力を受けているラザリーニ氏は、イスラエルによる最新の告発について独立した調査を要求した。
AFPのカメラマンを含む数名のジャーナリストが8日、イスラエル軍によってその施設とトンネルに案内された。
国連施設は国際法上「不可侵」とされ、「捜索、徴発、没収、収用、その他いかなる干渉も受けない」とされている。
ハマスは、学校や病院、その他の民間インフラの下にトンネル網を掘り、その活動を隠蔽しているというイスラエル側の非難を繰り返し否定してきた。
国民の怒り
戦争は5カ月目に入り、イスラエル国内では国民の怒りが高まっている。
10日の夜には、テルアビブの街頭に抗議者たちが集い、人質の解放、ネタニヤフ首相の辞任、そして再選挙の実施を要求した。
「ネタニヤフが戦争を引き延ばしているのは明らかだ。彼は次に何をすべきか全くわかっていない」と、イスラエルの抗議者ギル・ゴードン氏は語った。
この戦争は、イスラエルとガザをはるかに越えて広範囲に影響を及ぼしており、イランに支援されたハマスの同盟組織が関与する暴力が中東全域で急増している。
パレスチナとレバノンの治安筋がAFPに語ったところによると、レバノンではハマス幹部がイスラエルによる暗殺未遂事件から生還したが、ヒズボラのメンバーを含む他の2人がこの攻撃で殺害されたという。
シリアでは、イスラエルによるダマスカス近郊の空爆で3人が死亡したと戦争監視団が伝えた。攻撃された地域には軍と政府高官の別荘が存在していたという。
AFP