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カイロで停戦交渉開始、ガザ住民はイスラエルのラファ攻撃に怯える

ガザ地区南部のラファから人々が避難するなか、車にロープで固定した家財の上に座る少年。2024年2月3日。(AFP)
ガザ地区南部のラファから人々が避難するなか、車にロープで固定した家財の上に座る少年。2024年2月3日。(AFP)
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14 Feb 2024 05:02:11 GMT9
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  • 南アフリカは国際司法裁判所に対し、ラファへの攻撃拡大に関するイスラエルの計画に、パレスチナ人の人権を守るための追加緊急措置が必要かどうか検討するよう要請

カイロ/エルサレム:米国、エジプト、イスラエル、カタールの代表者たちは13日、カイロで会合を開き、ガザ地区での停戦合意に向けた協議をおこなった。イスラエルはパレスチナの飛び地であるガザ地区の南部の都市ラファへの攻撃を計画しており、国際社会の反対の声が高まっている。

ラファには100万人以上の民間人が避難しており、多くはキャンプや即席シェルターに寝泊まりしている。戦争が4カ月以上にわたって続くなか、ガザ地区のほかの場所からイスラエル軍の攻撃を逃れてたどり着いた人々だ。

イスラエルはラファ市内の潜伏先からハマス戦闘員を一掃し、拘束されているイスラエル人の人質を解放することを目標に掲げ、また包囲されたパレスチナの民間人の避難計画を策定していると述べる。だが、避難計画の発表の見通しは立っておらず、焦土と化したガザ地区にほかに避難民が行ける場所はないと、援助機関は主張する。

イスラエルの戦車は昨夜ラファの東部地区を砲撃し、人々はパニックに陥ったと、住民は語る。

ラファはエジプトとの国境に位置するが、エジプト政府は難民の越境を認めないと明言している。

ガザ保健省によれば、過去24時間以内に133人のパレスチナ人が新たに亡くなり、10月7日以降の死者は2万8473人、負傷者は6万8146人となった。

これ以外にも多くの人々が倒壊した建物のがれきの下に閉じ込められているとされる。人口過密なガザ地区の大部分はすでに廃墟と化した。食料、水、その他の必需品の供給は断絶し、感染症が拡大している。

ガザ地区の総人口230万人のうち、約半数が現在ラファに密集している。多くは戦禍を逃れてほかの場所から避難してきた人々だ。

「イスラエルがまもなくラファに侵攻すると発表して以来、わたしたちは毎晩、最後の祈りを唱えています。毎晩お互いに、またラファの外にいる親戚に、別れを告げています」。そう話す30歳のアヤさんは現在、母と祖母、5人の兄弟姉妹とともにテントで生活している。

停戦と人質

カイロでは、中東全域を揺るがしているこの戦争の停戦成立のための交渉が進められている。エジプト国営アル・カヘラ・ニュースによれば、13日に始まった協議には、米国、カタール、エジプト、イスラエルの代表者が参加している。

「関係者はハマスが受け入れる条件を模索しています。ハマスは、イスラエルが戦争終結にコミットし、ガザ地区から軍を撤退させないかぎり、停戦合意には署名しないと述べています」と、あるパレスチナ代表者はロイターに語った。

この人物によれば、ハマスは各国代表に、イスラエルは信用できず、パレスチナの戦闘員が拘束しているイスラエル人の人質を解放した場合にイスラエルが戦闘を再開しない保証がないと述べたという。

人質は10月7日にハマス戦闘員によりイスラエル南部で拉致された。この奇襲攻撃では約1200人が死亡し、イスラエルの報復的軍事作戦の引き金となった。人質の奪還はベンヤミン・ネタニヤフ首相が率いるイスラエル政府にとって優先事項だが、同時にかれらはガザ地区を支配するハマスの壊滅も掲げる。

ハマス幹部のサミ・アブー・ズーリ氏は、和平交渉の進展の乏しさはイスラエルが原因だと非難する。これまでに停戦が実現したのは一度だけで、11月下旬に1週間の停戦期間が設けられた。

「占領軍(イスラエル)は依然として時間稼ぎに余念がなく、合意形成に向けたあらゆる努力の足を引っ張っている。イスラエルはわれわれの時間を浪費しつつ、その間にガザの同胞たちに対するジェノサイド戦争を継続している」と、アブー・ズーリ氏はロイターに語った。

停戦交渉の状況についてイスラエル政府はコメントを避けたが、民間人死者を最小限に抑える努力をしていると述べ、ハマス戦闘員が市民の間に潜伏していると非難した。なお、ハマスはこの主張を否定している。

「ハマスのテロリストが民間人を人間の盾として利用しなければ、われわれはハマスの標的をもっと攻撃できる」と、イスラエル政府のエイロン・レビー報道官は13日に述べた。

「事実上居住不可能」

ベルリンでは、14日にイスラエルを訪問予定のアンナレーナ・ベアボック独外相が、目前に迫るイスラエルのラファ攻撃に懸念を表明した。外相は、イスラエルにはテロからの自衛権があるが、それは住民を強制排除しても構わないという意味ではないと述べた。

南アフリカは国際司法裁判所に対し、ラファへの攻撃拡大に関するイスラエルの計画に、パレスチナ人の人権を守るための追加緊急措置が必要かどうか検討するよう要請した。

国際司法裁判所は先月、南アフリカが提訴した訴訟に関して、ガザ地区でパレスチナ人に対して自国軍がジェノサイド行為を実行しないよう、イスラエルにあらゆる対策を講じることを命じる裁定を下した。イスラエルはジェノサイド行為を否定し、裁定の前には国際司法裁判所に訴状を受理しないよう求めていた。

南アフリカ政府は、ラファ攻撃はさらに大規模な殺戮、損失、破壊につながると憂慮を示している。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のジュリエット・トーマ報道官は、ラファからの避難計画についてイスラエルから何の連絡も受けておらず、計画策定に参加もしていないと述べた。

「ガザ地区のどこにも安全な場所などないのに、どこに避難させるというのですか。北部は焦土と化し、そこらじゅう不発弾だらけで、事実上居住不可能です」と、報道官は述べ、UNRWAは強制避難には協力しないと明言した。

「もうたくさんです。これ以上のエスカレーションが行き着く先は黙示録的な大惨事です」

12日、ジョー・バイデン米大統領は、ワシントンは人質解放交渉を進めており、実現すればガザ地区に少なくとも6週間の「即時かつ持続的な」安定がもたらされると述べた。

大統領はイスラエルに対し、民間人保護の計画なしにラファへの地上作戦を展開しないよう求めた。

直近の戦闘において、イスラエル軍の発表によれば、過去24時間以内にガザ地区南部および中部で数十人のパレスチナ人戦闘員が殺害された。

ガザ保健省は、ガザ地区中部のヌセイラト難民キャンプの住宅1棟がイスラエル軍の空爆を受け、昨夜のうちに16人のパレスチナ人が死亡したと発表した。

ロイター

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