
ミュンヘン、ジュネーブ:国連難民高等弁務官は金曜日、ガザ地区のラファからエジプトのシナイへの難民の流出は最悪の事態を招くだろうとし、パレスチナ人はガザ地区内で支援を受けるべきとエジプト当局が明言したことを語った。
フィリッポ・グランディ氏は、ドイツ南部の都市で毎年開催されているミュンヘン安全保障会議の合間に、「シナイへの流出はパレスチナ人にとっては最悪の事態となるだろう…エジプトにとっても将来的な和平にとっても然りだ」と述べた。
エジプト当局が起こりうる緊急時対応策について国連難民高等弁務官事務所 (UNHCR) に連絡したかどうかの問いに対しては、「人々はガザ地区内で支援を受けるべきとエジプト側は主張しており、我々はそれに取り組んでいる」と話した。
ガザ地区の人々のエジプトへの流出は「何としてでも回避」しなければならず、流出すれば将来の和平プロセスの「破滅を決定づける」可能性があると同氏は述べた。
多くの観測筋と同様に、国連難民高等弁務官は、パレスチナ人がガザ地区からひとたび離れると、1948年に起こったように、もはや帰還することはできなくなり、イスラエルとパレスチナ人の二国家解決の可能性が台無しになるだろうと考えている。
フィリッポ・グランディ、国連難民高等弁務官
ガザ地区の人口の半数以上にあたる150万人近いパレスチナ避難民がラファに閉じ込められ、エジプト国境近くの広大な仮設キャンプに身を寄せている。
「エジプトの立場は非常に明確だ。ガザの人々は国境を越えるべきではない。エジプトには非常に正当な理由があると私は思う」とグランディ氏はミュンヘンからBBCテレビに語った。
「パレスチナ人にとって、再び避難民となることは最悪なことだろう。」
「あらゆる観点から、シナイへの流出はエジプトにとって最悪であり、何よりも重要なことは、更なる難民危機がもはや将来の和平プロセスの破滅をほぼ決定づけることになるということだ。」
多くの観測筋と同様に、国連難民高等弁務官は、パレスチナ人がガザ地区からひとたび離れると、1948年に起こったように、もはや帰還することはできなくなり、イスラエルとパレスチナ人の二国家解決の可能性が台無しになるだろうと考えている。
1948年のイスラエル建国に伴う戦争では、76万人のパレスチナ人が避難し、あるいは家を追われた。彼らの子孫数百万人が、今も近隣諸国で難民として暮らし続けている。
「1948年という昔に起こった難民危機は今でも未解決の問題だ。新たに同じ様なことがそれに加われば、有意義な和平プロセスのことは忘れろということになる」とグランディ氏は語った。
イスラエルがハマス武装勢力に対する完全勝利を目指して、ラファでの軍事作戦を進める計画をするなか、エジプトに対しパレスチナ民間人に国境を開放するよう圧力が高まっている。
グランディ氏は、ジュネーブに拠点を置くUNHCRは、パレスチナの人々が国境を越えた場合にエジプトが行うであろう備えにまったく関与していないと述べた。
しかしいずれにせよ、ガザ難民のエジプト流入は「回避する必要があり、それは人道支援物資が大量にガザ地区に搬入できる場合にのみ可能になる。しかし、より重要なのは敵対行為が止むことだ」と同氏は語った。
グランディ氏は、ガザ地区ラファ市の避難民の窮状は「極めて劇的」だと語った。
「ゆえに私は、国際社会全体による停戦と人道援助へのアクセス、そして人質の解放を求める訴えに、当事者であるイスラエルとハマスが耳を傾けることを願っている。」
エジプトは、イスラエルの壊滅的なガザ地区攻撃がパレスチナ人をシナイ半島に追いやる可能性について繰り返し警告を発しており、エジプト政府はこれを全く容認できないと主張しているが、ヨルダンなどのアラブ諸国も警戒感を示している。
米国は、ガザ地区からのパレスチナ人のいかなる強制退去にも反対すると繰り返し主張してきた。
ある情報提供者はロイター通信に対し、エジプトは停戦締結に向けた交渉でそのようなシナリオは回避できると楽観的だが、一時的かつ予防措置として国境にそういったエリアを設置していると語った。
3人の安全保障関係者は、エジプトがパレスチナ人の保護に使用できるいくつかの基本的な施設を砂漠地帯で準備し始めたと述べ、これは緊急事態に備えた対策であると強調した。
これら情報提供者は、慎重に扱うべき問題であることを理由に匿名を希望した。
イスラエルは、ラファにあるハマスの「最後の砦」を攻略するために攻撃を開始すると言っている。ラファには、イスラエルによる壊滅的なガザ地区攻撃から逃げた、100万人を優に超えるパレスチナ人が安らぎの場所を求めて避難している。
イスラエルは、自国軍がラファからガザ地区の他の地域へ民間人を避難させる計画を策定していると話している。
しかし、国連のマーティン・グリフィス緊急援助調整官は木曜日、ガザ地区の人々が安全な場所に避難できると考えるのは「幻想」だと述べ、イスラエルがラファで軍事作戦を開始した場合、パレスチナ人がエジプトに流入する可能性について警告した。同調整官はこのシナリオを「いわばエジプトの悪夢」と呼んだ。
最初の情報提供者は、キャンプの建設は3、4日前に始まり、いかなるシナリオでも人々が国境を越えてきた場合には、「解決が得られるまで」一時的な避難所が提供されると話した。
ロイター – AFP